ライブドアとけんか、口座凍結祭り…「25周年記念サイト」に無かった楽天銀行の歴史
2001年7月に誕生した楽天銀行が、今月で25周年を迎えた。これを記念した特設サイトでは、創業時の名前であるイーバンク銀行時代からの歴史を振り返る内容が公開されている。
サイト内では「お客さまの声」への取り組みとして、カード不要で現金の入出金が可能になったことなど、利便性の高いサービス内容を紹介している。だが、2001年から2018年までの間には、歴史として紹介されている事象が8個しかない。この17年の間には、前身のイーバンク銀行を語る上で欠かせない歴史的な出来事がいくつもある。
1000万回線を突破したものの「つながりにくい」楽天モバイルに迫るタイムリミット
開業してから2年後の2003年には、預金量が900億円近くまで増えたが、口座数は伸び悩んでいた。そこで提携を決めたのが、後にライブドアと社名を改めるエッジである。イーバンクの筆頭株主となったエッジは早速社員を送り込むが、コストカットへの提言が発端になったという意見の対立が日を追うごとに激化。「イーバンク社長からの脅迫めいた音声」をライブドア側が公開したかと思えば、イーバンク側もライブドアからの出向者に「つるし上げを食らった」と証言。双方がお互いに刑事告訴を行うという、異常な事態に発展した。
当時ライブドアのCFOを務めていた宮内亮治氏は、イーバンクの株を売らないと明言していたが、結果的に第三者へ譲渡され、イーバンクとライブドアの関係はけんか別れで終わった。
筆頭株主によって社内を引っかき回された形になったイーバンクだが、それとは別の問題も抱えていた。インターネット専業銀行として最大手の座にまでのしあがったのだが、その傍らでは収益拡大のためにハイリスクな金融商品に手を出していたという。
その後、アメリカにおける住宅ローンの焦げ付きを発端とした「サブプライム問題」が発生し、イーバンクもその影響を受けたと見られるが、そこで新たにパートナーとして選んだのが、かつて「キャッシュバックキャンペーン」のコラボ相手でもあった楽天である。
2008年に資本・業務提携を行ってからは、ライブドアの時と同じように楽天社員の出向が行われ、2010年5月にサービス名と銀行名を楽天銀行に変更。創業者が去るなどしたが、平和裏に楽天グループ入りが進み、イーバンクとしての歴史に幕を下ろした。だが、口座開設者にとって不平や不満が吹き上がる出来事が、今後数年にわたって発生することになる。
口座解約を検討する「事件」
2010年2月、同行間での振込手数料が発生するようになった。手数料ビジネスを主軸にしながらも、同行間の手数料に関しては0円を維持していたが、突然の有料化によって不満の声が相次いだ。また、振込手数料の有料化を行った翌月には、Visaの機能を持ったデビットカード「イーバンクマネーカード」のサービスを一部終了。年会費を支払っている人以外を一斉に切り捨てる形になり、口座の解約を検討する人が相次ぐなど、こちらも批判の声が続出した。
2015年には、反社会的勢力などを対象にした銀行口座の凍結作業を強化したが、この作業に巻き込まれ、無関係の人の口座が次々凍結された。電話での応対が良くなかったとブログで説明する声も複数投稿され、口座開設者以外からも非難された。
様々な批判にさらされながらも、楽天銀行の立て直しに成功した楽天グループは、楽天証券、楽天カードとの連携強化などを実施し、金融事業を強化していく。その集大成ともいえるのが、10月に行われる楽天の事業再編だ。これまでは楽天グループが各金融企業の親会社になっていたが、楽天銀行が金融系サービスを展開する各企業の親会社になり、メガバンクの一角であるみずほフィナンシャルグループとの連携も事実上強化される。
ネット専業銀行だった楽天銀行は、今や楽天グループにとって無くてはならない屋台骨に成長した。2023年に実施したプライム市場への上場は、楽天モバイルで発生している巨額の赤字を補てんするためと見られているが、最初からプライム市場へ上場できる企業は年間に数社ほど。裏を返せば、それだけすごい企業、信頼される企業として評価されたという証左にもなる。
創業からしばらくは預金量が数億円だったが、中期経営計画では2027年3月期に約20兆円を目指すと記載し、「株主・投資家の皆さまへのメッセージ」のページでは2025年12月時点で13兆円を突破したと説明している。長年君臨している業界最大手の座にあぐらをかくことなく、今後も壮大な目標に向けて突き進もうとしている。
文/池田聖人 内外タイムス編集部






