コスパ・タイパ重視の若者はディズニー離れ…経営陣高齢化の影響を指摘する声も
東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)の新事業「ディズニークルーズ」は、2029年春の就航を予定している。先日、クルーズ船の名称を「ディズニー・イマジネーション」に決めたと発表した。
船の総トン数は約14万トンで、日本船籍船としては最大規模。就航の約半年前から予約を受け付ける。ディズニークルーズにはバーやラウンジ、ナイトスポットなど大人専用の施設も用意される予定だ。OLCの経営戦略に変化の兆しがある。
最近は、チケットの相次ぐ値上げにより、若者のディズニー離れが進んでいると言われることもある。TDRの大人向け「1デーパスポート」は10月11日から1万2400円に引き上げられ、「お金がないとディズニーでは楽しめない」という声も聞く。無料ファストパス廃止や、有料の「ディズニー・プレミアアクセス」導入により、トータルの出費が増えているのは事実だ。
人件費よりも株主向けの可能性 ディズニーランド&シーの値上げに踏み切るOLCの懐事情
OLCの株主向け資料によると、2パーク(ディズニー・ランドとディズニー・シー)について、全来園者数に占める4~11歳の割合は、2006年の20.0%から25年に12.9%へ落ち込んでいる。中高生(12~17歳)の来園比率は長期的にほぼ横ばいだが、18~39歳の全体比率はやや低下傾向にあり、一方で40代以上やシニア層の割合が増えている。
これらのデータから、子ども時代に2パークでの楽しい思い出を持つ利用者が減り、将来の来園者数減少につながる悪循環に陥っているのではないかという意見もある。
若者は「コスパ」「タイパ」という言葉をよく使うが、大金を払って長時間並ばなければならないTDRは、典型的な“コスパ最悪”“タイパ最悪”ということになる。それでも、かつては魅力的なキャラクターによるアトラクションによって夢のような時間が過ごせる満足感があったが、ディズニー映画自体にかつてほどの勢いがなくなっていると指摘される。
現在のTDR人気を支える中心は、1990年代の「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」「ライオン・キング」など、ディズニーアニメ黄金期に触れた大人世代だ。子ども世代に向けた新しいヒット作があまりない状況では、子どもや若者がディズニーへ行く動機が弱まってしまうかもしれない。
10年後も小さな子どもが行きたいと思うか…
経営陣のガバナンスの問題を指摘する識者もいる。現在の高橋渉社長(COO・68歳)は2025年4月に就任したが、このとき、加賀見俊夫取締役会議長と高野由美子会長兼最高経営責任者(CEO)は続投した。加賀見議長は現在90歳で、高野会長は70歳であり、この経営トップの年齢で“夢の国”の成長戦略を作っていくのはなかなか厳しそうではある。
年齢だけを理由に経営手腕を判断するのはフェアではないが、社長が交代しても上層部の顔ぶれが大きく変わらない状況は、企業のガバナンスの観点からやはり疑問は残る。時代や消費者のトレンドが大きく変化する中で経営陣の健全な世代交代は必要だ。
OLCの決算(2026年3月期)だが、売上高7045億円(前期比3.7%増)は過去最高を記録し、営業利益は人件費などの増加で1684億円(前期比2.1%減)となった。2035年にはグループ全体で売上1兆円超えを目指す方針だ。
数字で見る限り、経営自体は堅調といえる。今後、来園者数の増加を目指さず、経済力のある大人や訪日外国人によって客単価を上げようとするならば、経営戦略としてはそれもアリだ。しかし、小さな子どもが行きたいと思わなくなれば、その結果は10年後に明らかになるだろう。
文/横山渉 内外タイムス






