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アパートで待ち伏せ鉄パイプで暴行…金銭トラブルが原因の複数人による強盗致傷事件【裁判傍聴記・前編】

令和8年4月10日20時ごろ、被害男性(29歳)は徳島県藍住町の自宅アパートに居たところ、ある男(A)に呼び出される。表へ出ると知らない男が立っており、1万円を渡される。それを受け取り、アパートの部屋へ戻っていると男2人組が待ち伏せしているかのように不自然に立っている。

直感的に「まずい」と思った男性は走って逃げようとするも追いつかれ、2階踊り場でガタイの良い目出し帽を被った男に後ろから身体を押さえつけられる。目の前に立つ、もう1人の目出し帽を被った男の手には鉄パイプが握られていた。

男はちゅうちょなく力いっぱい男性に鉄パイプを10回以上振り下ろした。

「痛い!助けて!」

男性は痛みのあまり叫び続けた。

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そこに目出し帽の男たちの別の仲間が現れ、暴行を加えていた男の鉄パイプを取りあげ、ガムテープを手渡した。渡された男は被害男性の口をそのテープで塞ごうとするも手間取る。

そうしていると階段の上から降りてくる女性の声が聞こえ、男3人はその場から逃走した。現場には男たちが落としていった1台のスマートフォンが残されていた。

被害男性は頭部裂創、右肩裂創、右腕裂創、全身打撲の加療3カ月の重傷を負い、救急車で搬送された。

この事件に関わったとして6名の被疑者が逮捕され、その内4名を逃走中と知りながら大阪市内の民泊施設に匿ったとして犯人隠匿罪で1名逮捕されている。

「とことんシバキに行ってほしい」

事件の概要はこうだ。

被害男性とAの間に金銭トラブルが発生。そこでAはBに「被害男性を襲って金を奪う」計画を話し、人を紹介してほしいと依頼する。Bが声をかけ、実行役としてAを含む5人が集まった(Bは襲撃には参加せず)

徳島出身のC(22歳)は事件当時、石川県に住んでいた。徳島で働いていた職場でBと知り合い、ある日、会社を辞めたいと相談するとBから「石川に仕事がある。俺も辞めてそれをする」と聞き、CはBについて行く形で令和7年11月に石川県に移り住む。

令和8年4月上旬、CはBから「徳島に行って人を殴ってきてほしい」と依頼を受ける。

弁護人「それに対してなんと答えたんですか?」

被告人「『週末とか予定あるかもなんで』と曖昧にしていました」

弁護人「どうして断らなかった?」

被告人「断りづらかった。Bさんは自分の従兄妹と仲が良い人で、従兄妹から怖い人と聞いていたので」

CはBに従属的な立場であり、普段からBに逆らうことはできなかったという。

事件前日、CはBが「明日、Cは仕事休むから」と職場の人間に勝手に言っているのを聞く。そして夜、Bから電話で「とことんシバキに行ってほしいんやけど」「明日に決まったから行ってきて」と言われるがまま翌日、Bの友人であるDと一緒に徳島へ向け石川を出発する。

途中、淡路サービスエリアでA、E、Fと合流し、そこから5人で1台の車で徳島へ向かっている。

100均でガムテープ、バンダナ、手袋を購入し、被害男性宅のアパート下に着くと車内で役割を決める。Fが運転手を担当することに決まり、AとEは被害男性に顔が割れているため車内で待機し、実行役はCとDが担当することになる。

アパートの階段踊り場に身を潜め、Aからの連絡を待つ。待っているとAに呼び出されてアパートに戻ってきた被害男性がCとDを見て逃げ出したので、ターゲットだと確信し追いかけ、前述の犯行に及んだ。

現場に残されたスマートフォンは逃走の際にCが落としたものだった。

男たちは待機していた車に乗り込み、現場から逃走し、兵庫県の海岸で犯行に使った鉄パイプを捨てた。事件から2か月後の6月18日までに犯行に関わった男たちは逮捕された。

示談金として、母親が銀行から30万円借り入れ

令和8年9月15日、徳島地方裁判所で鉄パイプを被害者に何度も振りかざした実行役、Cの傷害罪(強盗致傷罪の疑いで逮捕)の裁判が開廷した。

金髪にパーマ頭のまだ顔に幼さが残るCは刑務官に連れられ入廷する。起訴状の内容を認めたCは少年時代に前歴2件を有していることが検察官により告げられる。そして、弁護側から母親の証人尋問が請求される。

弁護人「Cくんは少年時代に前歴がありますね?」

母親「はい。高校1年生の時に暴行事件を起こして少年審判を受けました」

弁護人「少年審判にはお母さんは出席されたのですか?」

母親「はい。保護観察処分が下り、審判後、子どもが事件を起こさないように目を配っていました」

審判後は同居しており、その間、息子は犯罪をしなかったと述べる母親。しかし、令和7年11月に家を出て、石川県へBについて行く形で移り住んだ。母親は息子に行ってほしくなかったと述べる。弁護人から「なぜ?」と問われると、「Bがどんな人物か知らなかったので…」と涙を流した。

母親は事件の1週間後にBから電話がかかってきて事件を知る。そして、被害者と示談するため金が必要だと言われ、銀行から借り入れ、30万円をB名義の口座に送金している。

弁護人「どういう気持ちで?」

母親「示談したら事件がなくなると言われたので銀行で借り入れしました。自分の子どもがしたことなので、親として相手に誠意が伝わればと…」

結果、息子は逮捕され起訴される。母親は接見禁止が解けてから10回以上面会を繰り返したという。息子と話し、今後はこれまでの交友関係を切り、県外に住む離婚した前夫の元で生活させる予定だと話す。徳島にいると息子がまた良いように使われるからとの理由だった。

弁護人「相手に怪我をさせたことを母親としてどう思っていますか?」

母親「先程も検察官から被害者の方の話を聞いて、新聞だと右腕骨折だけだと思っていたので息子がそんなことをして本当に申し訳ないです…(泣きながら)」

弁護人「Cくんに望むことは?」

母親「人を傷つけず、人に迷惑をかけないようにしてほしい、反省の気持ちを忘れないでほしい。私自身、子どもの話を聞ける環境を作っていきたいと思います。自分も変わらないといけないと思っています」

尋問はこのあと反対尋問に移る。そして、女性検察官により母親の認知のズレ、認識の甘さが露呈する。

(後編につづく)

文/田辺朋之 内外タイムス

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