イスラエルの「9.11」から10月7日で3年 なぜここまで戦闘が拡大、長期化しているのか
2023年10月7日にパレスチナのイスラム組織ハマスなどがイスラエルを大規模に襲撃してから3年が経過した。
この攻撃では約1200人が死亡し、251人が人質としてガザ地区へ連れ去られた。イスラエルにとって10月7日は、米国における2001年9月11日の同時多発テロに匹敵するほど、安全保障観を根本から変えた出来事だった。
なぜ戦闘はここまで拡大し、長期化したのか。第1の理由は、イスラエルとハマスの戦争目的が根本的に両立しにくかったことである。イスラエルは10月7日以降、ハマスの軍事力と統治能力を排除し、人質を取り戻すことを主要な目標としてきた。
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一方、ハマスは武装闘争を継続し、イスラエルによるガザへの軍事的支配を拒否している。停戦交渉でも、イスラエル側はハマスの武装解除とイスラエル軍の安全確保を重視し、ハマス側はイスラエル軍の撤退などを求めてきた。この武装解除と撤退をめぐる対立が、停戦後も残っている。
第2は、ハマスを軍事的に弱体化させても、組織そのものを消滅させることが容易ではない点である。ハマスは正規軍のように基地や司令部だけで活動しているわけではなく、地下トンネルや小規模な部隊、地域社会に根差したネットワークなどを利用してきた。そのため、イスラエル軍が広範囲を制圧しても、武装勢力による攻撃能力を完全に排除することは難しい。
第3は、戦後のガザを誰が統治するのかという問題である。ハマスを排除したとしても、イスラエルが恒久的に統治することは現実的ではない。パレスチナ自治政府など別の主体が統治を担う案もあるが、ハマスとの関係や治安維持、住民の政治的支持など多くの問題が残る。さらに、破壊された住宅やインフラの再建、住民の帰還、国際的な資金支援をどう進めるかという難題もある。
戦闘停止だけで解決しない根深い問題
そして、戦争はガザだけにとどまらなかった。ハマスを支援するイランとの対立、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派などをめぐり、イスラエルとイランを軸とする地域的な対立へと広がった。イスラエルにとって10月7日は単なる一度のテロ攻撃ではなく、再び同様の攻撃を許してはならないという安全保障上の強い危機意識を生み出したのである。
2025年10月には米国の仲介による停戦が成立し、大規模戦闘はいったん抑えられた。しかし、2026年10月現在もガザでは散発的な攻撃が続き、イスラエル軍は広い範囲で軍事的影響力を維持している。
結局、3年に及ぶ戦闘の背景には、単純な軍事衝突だけでは解決できない問題がある。イスラエルの安全保障、人質問題、ハマスの武装解除、ガザの統治、パレスチナ国家の将来、そしてイスラエルと周辺国の関係が複雑に絡み合っている。戦闘を止めるだけでなく、戦後の政治秩序をどう設計するか。これが長期化した紛争を終わらせる最大の課題となっている。
文/和田大樹 内外タイムス



