【田母神俊雄のニュース・レビュー】少子化対策には景気回復こそが最善策である
1990年以降、少子化が問題として取り上げられるようになってから、いろいろと政府が対策を取ったが、少子化が改善される兆候はない。政府の努力の方向が間違っていたからだ。
政府はこの30年間以上、国民の給与が減る方向で努力をしてきたのだ。景気回復ができていない。それが一番大きな少子化の原因である。昔の日本は家庭において夫が働けばその妻と子ども3人くらいは生活していくことができた。
しかしバブル崩壊で苦しむ我が国にアメリカの影響を受けた株主資本主義が導入されることになって、それまでの日本の労働慣行が崩れていった。会社の使命は株主配当を最大にすることだと言われるようになった。
それまでの日本の会社は、社長も従業員もみんなで頑張って、みんなで豊かになろうということだった。しかし株主資本主義が叫ばれるようになって、日本国民の実質賃金はこの30年間上がるどころか下がっているのだ。OECD参加38カ国の中でも日本のような国はない。
株主配当を増やすためには、会社の諸経費を下げるしかない。一番効果があるのは従業員に払う賃金を抑えることだ。そのために安い賃金で働く外国人労働者の受け入れが始まった。そしてそれに合わせて日本人従業員の賃金も下がっていく。
欧米と異なり日本では結婚をしないと子どもが生まれない
派遣労働やアルバイトも経費増を抑えてくれるので積極的に推進された。そして夫の給料が上がらないので妻が家計を助けるためにアルバイトなどで働かざるを得なくなった。
これを女性が輝く社会などと言って糊塗(こと)し、家庭にいて子育てに専念したい女性まで職場に引っ張り出すことになった。女性の多くが仕事に出かけるようになれば少子化が進むのは当然のことではないか。
それでは男性国会議員の妻で輝いている女性はいるのか。ほとんどいない。ほとんど働いていないからだ。生活が間に合わない女性だけに働けと言っているのが、女性が輝く社会なのだ。
結婚をしても経済的に生活が成り立たないので若い人たちが結婚できない。我が国では婚外子の比率は2%程度なのだ。結婚をしなければ子どもが生まれない。他方、アメリカでは婚外子の比率は40%を超え、フランスでは60%を超えている。
欧米諸国では結婚をしなくても子どもが生まれるが日本では結婚をしないと子どもが生まれないのだ。若い人たちに結婚をしてもらうためには給料を増やすことが一番だ。もちろん経済的要因がすべてではないかもしれないが、最大の要因であると思う。
景気回復ができなければ、そして若い人たちの手取りの給料を増やすことができなければ、その他の少子化対策の効果が上がらないことは、この30年の社会実験で明らかである。
少子化担当大臣を置いたり、子ども家庭庁を作ったりしても少子化対策の効果は上がらない。大幅減税で国民の手取りを増やしてもらいたい。税は国の事業の財源ではないのだから。
第29代航空幕僚長 田母神俊雄


