「副首都」に選ばれるも、来春の住民投票で「大阪都構想」が否決されたら…大阪はカオスに
国会の会期末に「副首都構想」関連法が可決成立し、7月31日に公布されたが、この法律の中身があまりに生煮えで、専門家らが先行きを危惧している。
正式名称は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」と長く、大規模災害時の首都機能代替や多極分散型国家の形成を目的とした“理念法”だ。
一般的に、「◯◯基本法」「◯◯推進法」などの理念法を作ったら、中身の部分は別の法律で補足していく建付けだが、副首都法はそうなっていない。副首都を具体的にどこにするか、「法律」ではなく「政令」で決めるという。政令は国会ではなく内閣で決めるものだ。
日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は「大阪ありきじゃない」とあちこちのテレビ番組で弁明していたが、維新が閣内協力で閣僚を出せば、維新の思惑が強く働くのは火を見るより明らかだ。
北海道・宮城・群馬・愛知・大阪・広島・福岡の7道府県が指定申請を検討していると報じられており、それ自体は悪いことではない。しかし、これからの決定過程は出来レースに近いのではないか。
そもそも、なぜ、こんな生煮えの法律ができてしまったのか。ABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」で政治ジャーナリストの青山和弘氏がこう解説した。
「維新が連立合意するときの条件が、大阪都構想の実現をにらんだ『副首都法案』だったが、維新が最初に作成した法案があまりにも我田引水で自民党内の調整ができなかった。結局、自民との協議の中で妥協しつつ会期末までずれ込み、生煮えのまま法案を提出することになってしまった」
そして、元経産省官僚で政策アナリストの石川和男氏は「副首都をどこに置くかというのは、野党も入れた国会で決めたほうがいい」とコメントした。というのも、副首都を決めた後に、そこがどんな役割を担うのか決まっていないからだ。省庁の移転なのか、機能強化なのか。もちろん、補助金などの予算規模もこれからだ。
8月26日、政府は副首都の指定要件を定める政令を、10月下旬に決定する方針を明らかにした。政令には、副首都構想関連法で指定要件とされた「国の出先機関の立地」「経済・人口の集積」「必要な地方行政体制」に関して、具体的な基準が明記される。メディアは「副首都はどこがいいか」という人気投票状態になっているが、すべては10月下旬に決まる指定要件次第というわけだ。
さて、仮定の話だが、もし維新の思惑通りに大阪が副首都に選ばれたとしよう。吉村氏は来年春に、「大阪都構想」をかけて住民投票の実施を目指しているが、そこで否決されたらどうなるのだろうか。副首都に選ばれながらも、大阪都構想は否決されるというねじれた状況になる。
そして、知事選で吉村氏が再選されれば、吉村氏は大阪府知事として残る。大阪はカオスに陥る。
文/横山渉 内外タイムス






