• 全国
  • 「コナン」「ちいかわ」「ゴジラ」で判明 映画館での新時代の集客方法
  • HOME
  • 全国
  • 「コナン」「ちいかわ」「ゴジラ」で判明 映画館での新時代の集客方法

「コナン」「ちいかわ」「ゴジラ」で判明 映画館での新時代の集客方法

「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」と「劇場版名探偵コナン ハイウェイの堕天使」が、東宝で興行収入100億円を超えるメガヒット作品となった。この2本の映画はキャラクター人気や推し活消費を取り込み、集客効果を増幅させることに成功している。

収益を支えたのが冒頭に挙げた2作品で、今年7月24日に公開した「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」は、9月20日までの興行収入が158億円を超え、4月10日公開の「劇場版名探偵コナン ハイウェイの堕天使」は、6月8日時点で130億円を突破した。

ディズニー&ピクサーが手がけたシリーズ最新作「トイ・ストーリー5」は7月3日に公開され、興行収入が130億円。「ちいかわ」と「コナン」は日本の映画市場において、「トイ・ストーリー」という世界的なシリーズの新作を上回るほどの収入を得たわけだ。

実は「ちいかわ」の鑑賞者は、リピーターが多くグッズ購入比率が高いという特徴がある。エンタメ業界に特化したマーケティング・調査を手掛けるGEM Partnersが、夏季公開映画の主要10作品の鑑賞者行動を比較したところ、「ちいかわ」は「2回以上映画館で見た」「映画館で作品関連グッズを購入した」割合が10作品の中で最も高かったという。来場者特典のタイミングで興行収入が増えたことも調査で示した。

ちいかわシールで「見事な狙い撃ち」

「ちいかわ」は来場者特典を定期的に配布していた。第1弾がチャームミニフィギュア、第2弾がボンボンドロップシール、第3弾がプルバックカーとなる。その後も、特典の配布を繰り返し実施した。

第2弾のボンボンドロップシールは小中学生女子に人気のものだ。「ちいかわ」というIPは幅広い世代に人気があるが、市場調査を手掛けるヴァリューズによると、中心層は30代だという。シールの配布は手薄な客層を狙い撃ちしたものであり、その手腕は見事と言うほかない。

チャームミニフィギュアとプルバックカーはランダム配布だ。複数の種類からどれか一つをもらうことができるが、種類を選ぶことはできない。コンプリートしたいファンは劇場に何度も足を運ぶことになる。「ランダムでの特典配布」の是非はともかく、グッズが興行収入を押し上げたのは間違いないだろう。

「ゴジラ-0.0」も初日から特典

「コナン」はシリーズ4作品連続で興行収入100億円を突破しているが、これは邦画史上初の快挙だ。「推し活消費」を取り込んだことが功を奏したのだろう。

コナンシリーズの転換点は、26作目の「黒鉄の魚影(サブマリン)」だ。興行収入が100億円を突破すると、「哀ちゃん100億円の女」というワードが、X(旧Twitter)でトレンド入りを果たした。

コナンはキャラクターに熱烈なファンがいることで知られている。2018年公開の「ゼロの執行人」に登場する安室透というキャラクターのファンが、「安室を100億円の男」にしようとSNSで呼びかけた。惜しくも100億円には届かなかったが、キャラクター推しの大きなうねりができたのだ。コナンシリーズの劇場版は、メーンキャラクターと、脇を固めるサブキャラクターを戦略的に配置し、商業的なヒットを生み出す原動力としている。

グッズの配布や推し活消費を映画に取り込む動きは、最近になってより洗練されてきた印象を受ける。11月3日に公開された「ゴジラ-0.0(マイナスゼロ)」でも、ゴジラと縁のある関係者らがカメオ出演をしたり、公開日から「光る!ゴジラ(2026)ミニフィギュア」を配布したりしている。前作の「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」では行わなかった施策だ。

動画配信サービスが台頭するなか、わざわざ人が劇場に足を運ぶ理由を作らなければならない時代になった。大きなスクリーンや音響による体験に加え、特典を手に入れる楽しみや、ファン同士で応援の熱を共有する体験も、劇場に足を運ぶ動機になっている。

文/不破聡 内外タイムス

関連記事一覧