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「なるはや」「ツーカー」「8時10分前」が通じない…若者と中高年の“絶望的な言葉の壁”

職場で「なるはやでお願いします」と伝えたら、相手はいつまでに対応すればいいと考えるだろうか。「ツーカーの仲なんだから、言わなくても分かるよね」と言われても、そもそも「ツーカー」が通じなければ話は始まらない。

同じ日本語でも、世代や経験の違いによって言葉の受け取り方が変わる。そんなすれ違いが、仕事や日常会話のあちこちに潜んでいる。

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先日、文化庁が発表した「国語に関する世論調査」でも、言葉の意味や使用経験に違いが表れた。意味を知っているかだけでなく、実際に使うか、相手に使われて気になるかという点でも差が見られる。

このニュースに、ネット上では「『ツーカー』はドラえもんで知ったなぁ」「分かるけど聞いたことないが正確だと思う」「小説を読んでると出てくるけど、リアルで使ってる人は見たことない」といった感想が上がっていたが、作品を通じて覚えた人もいれば、意味は知っていても会話では使わない人もいる。言葉との出会い方は人それぞれだ。

仕事のやり取りでは、こうした違いが表面化しやすい。「なるはや」は「なるべく早く」の略で便利な表現だが、「今日中」なのか「数時間以内」なのか、解釈が分かれる可能性がある。

「えいやで決める」も、職場では通じても、初めて聞く人には意味をつかみにくい。同じ環境で働く人同士なら問題がなくても、異動や転職で相手が変われば説明が必要になる。

一丁目一番地、よしなに、1時間弱…

大塚製薬が実施した「会話のすれ違いに関する世代間ギャップ調査」でも、職場で使われる慣用句の認知率に大きな開きが見られた。

20代の会社員が知らない言葉として上がったのは、最優先事項を指す「一丁目一番地」、適切に処理することを意味する「よしなに」、都合のよい数値を考慮する状態を表す「鉛筆なめなめ」など。同調査では、20代の86.0%がこうした「社会人用語を知らない」と回答する一方、40代以上の75.5%が「後輩に言葉が伝わらなかった」と答えている。

言葉のすれ違いは、時間表現にも及ぶ。今年5月にタレントの狩野英孝がYouTube動画で取り上げて話題となった「8時10分前」もその一例だ。一般には7時50分を意味するが、「8時10分の直前」と捉え、8時8分や9分ごろをイメージする人もいるという。

また、「1時間弱」を1時間より少し短い時間ではなく、1時間を少し超える時間と受け取るケースもあるとされる。集合時間や業務の締め切りで解釈が違えば、思わぬトラブルにつながりかねない。

文化庁の調査では、「関係する書物を読む」という意味を持つ「ひもとく」について、正しく理解している人は13.1%にとどまり、69.9%が「真実を明らかにする」という意味で捉えていた。

また、「気を許せる」という意味の「気が置けない」を、「気を許せない」という逆の意味で受け取るケースも約半分で見られる。可能表現の「ら抜き言葉」も広がっており、「出られる」を使う人が47.3%だったのに対し、「出れる」を使う人は51.0%と過半数を占めた。

もちろん、言葉は時代とともに変わる。新しい略語が生まれる一方、以前はよく使われた表現が日常会話から遠ざかるのも自然なことだ。問題は、どちらの世代の言葉が正しいかを競うことではない。仕事で「なるはや」と伝えるより、「今日の午後3時まで」と期限を明示した方が、誤解は起こりにくい。

聞き慣れない言葉が出てきたら、分かったふりをせずに意味を尋ねればいい。知っていて当然と思う言葉が、相手には初耳かもしれない。その前提を持つだけで、世代間のすれ違いは少しずつ減らせるだろう。

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