少年院にいる「境界知能」入院者問題が浮きぼりに 彼らの生きづらさを社会はどう支えるか
少年院に入る子どもが3年連続で増加している。法務省の少年矯正統計によると、2022年に1332人まで減少した少年院の新収容者数は、2025年には2044人となった。2026年も1月から6月の半年間で1038人が新たに収容されている。
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その背景として指摘されるのが、コロナ禍の影響である。学校の休校やオンライン授業など、外出の自粛に伴って親と家庭内で過ごす時間が増加。虐待など、家庭内に生きづらさを抱える子どもは、居場所を失い、逃げ場がなくなった可能性が考えられる。
国会でも議論されている境界知能の少年への処遇
少年院に入る子どもが抱える困難は、非行に至った背景だけでなく、入院後に必要となる支援という観点からも考える必要がある。
2026年4月10日の衆議院法務委員会で、日本維新の会の金村龍那議員が少年院入院者に占める障害のある少年の割合や、境界知能の少年への対応について問題提起している。金村議員は、少年院に入院する少年のうち、障害のある少年が35%を超えていることを指摘。非行や犯罪に至る少年の中には、法律や社会のルールを理解するための支援が十分に届いていないケースがあるのではないかと問題提起した。
また、知的障害や発達障害には該当しないものの、生きづらさや学習面・生活面での困難を抱える「境界知能」の少年にも着目。こうした少年を含めると、入院者に占める割合は4割を超える可能性があるとの見方を示し、少年院において、障害のある少年や境界知能の少年にどのような支援体制を整えているのか、政府に説明を求めた。
そもそも境界知能とは
金村議員が着目した境界知能について簡単に説明する。境界知能とは、一般的にIQが70〜84程度の範囲にある状態を指す。知的障害と診断される水準には該当しないものの、学習や対人関係、日常生活への適応などに困難を抱える人もいる。外見上ではわからないため、周囲の人も気づきにくく、支援を受けることが難しいという課題がある。
境界知能の3つの特性と自己肯定感の低さ
境界知能の人たちは、具体的にどのような生きづらさを抱えているのか。そして、私たちや社会の側には何ができるのだろうか。
過去のインタビューでは、境界知能のある人に見られる特性として、「認知機能の弱さ」「身体面の不器用さ」「コミュニケーションの苦手さ」の3つが挙げられた。ただし、これらの特性がすべての人に当てはまるわけではなく、その現れ方も人によって異なる。
インタビューでは、幼いころからできない自分にばかり目を向けられることで、自己肯定感が低くなりやすいという課題も語られた。
当事者は「周囲の人には、なんでできないの?と聞くのではなく、どうしたら少しでもできるようになるか、を一緒に考えてもらえるとうれしいです。本人の自主性を促すような、前向きな関わり方をしてもらえるだけで、気持ちが大きく変わることもあると思います」と発言。コミュニケーションについても、苦手だからとひとくくりにするのではなく、どのような場面であれば力を発揮できるのかを見極めることが大切だという。
他にも「たとえばですが、口頭でのやり取りは苦手だけど、文章ではスムーズにやり取りできるとか、対面だと緊張してうまく話せないけど、オンラインだと落ち着いて話せるなどですね。コミュニケーションが苦手とひとくくりにせずに、そのなかでもどんな場面ならできるか、を細かく見てあげることが大切です」と話していた。
境界知能のある人が抱える困難は、外からは見えにくく、周囲から努力不足と受け取られてしまうこともある。大切なのは、本人の努力だけに解決を委ねるのではなく、一人ひとりの特性や困りごとに応じた支援につなげることだ。学校や家庭、福祉などが連携し、困難が深刻化する前から必要な支援を受けられる環境を整えていくことが必要だろう。
文/佐藤杜美 内外タイムス






