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同僚たちの名義で2000万円以上の借金 ギャンブルで身を滅ぼし、同僚たちまで巻き込んだ男 【裁判傍聴記】

被告人「ギャンブルを始めて、借金を繰り返して、平成26年に自己破産しました。その後もギャンブルを止められず自分名義で借りていたのですが、それも借りられなくなって…」

検察官「それで同僚の名義で借金したんですよね?その人が同じ状況に陥るのをわかっていて」

無免許運転で事故を起こした72歳、淡々と質問に答え続けた男が突然しおらしくなった瞬間とは【裁判傍聴記】

自己破産しても借金を繰り返す男 同僚名義で借金を繰り返す

法廷で女性検察官が男を問い詰める。

うつろな表情で質問に答える男(37歳)は窃盗罪で起訴され、この日、証言台に座っていた。

本件はギャンブルにとりつかれた男の身勝手な欲望により、職場の同僚たちに累が及んだ事件である。

男は平成21年、二十代前半からギャンブルにのめり込むようになる。法廷に出廷した父親は自身が通っていたボートレースに付いてきたことにより、男はギャンブルを覚えたのではないかと証言する。

ボートレース、競馬、競輪、パチンコ、男はギャンブルに明け暮れた。

平成24年には仕事を辞め、生活が回らなくなり消費者金融で借金をするようになる。

返済のため、また他の消費者金融で金を借り、自転車操業を繰り返す。そんな生活が続くはずもなく借金は300万円を超え、平成26年、男は自己破産申請をする。

クリーンになったこの時点で心を入れ替えれば良かったものの、男はギャンブルが止められない。自己破産し、消費者金融から借金が出来なくなった男は闇金に手を出してしまう。

そして平成31年には利息の返済もままならず、闇金からも金が借りられなくなってしまう。

自己破産する前年の平成25年から男は水道業に従事していた。そこでも同僚に金を借り、返済が出来なくなった男は同僚Aにある提案をする。

「Aの消費者金融の借金を俺が払うよ」

男はAが借りている消費者金融の借金返済を自分がすると持ち掛け、カード、IDを預かり、パスワードを聞きだした。

そして、返済するどころかA名義のカード、IDを使用し借金を繰り返す。令和2年にA名義での借入が限度額に達し、困った男はA名義で他の消費者金融から借金をしようと思いつき、Aに相談する。

「俺が返済しているA名義の消費者金融の更新のために顔写真が必要なんだわ。」

男はAに免許証の写真を持たせた顔写真を撮影する。それを悪用しA名義で他の消費者金融と新たに契約し再び借金を繰り返した。

なぜ同僚たちは男の要求に応じたのか 裁判官の質問により明らかになる

いつかバレる覚悟で男は犯行に及んでいた。しかし、月日が経っても一向にバレる気配がない。そして、自身が契約したA名義の消費者金融での借金が限度額に達し、借入が出来なくなった令和5年夏ごろ、今度は同僚B、Cに話を持ち掛ける。

「悪いことに使わないから」

そう言って銀行口座のスクリーンショットを撮り、免許証を持たせた顔写真をそれぞれ撮影する。

Aの時と同様、勝手に消費者金融と契約し、B、C名義で借金を繰り返した。

普通に考えて、こんな無茶はすぐに発覚すると思われるが不思議なことに長い年月が過ぎても露見することはなかった。

令和7年2月、新居を構えようとしていたBの住宅ローンの審査中に身に覚えのない借金があることが発覚し、事件は露見する。。

男はA、B名義で勝手にインターネット銀行口座を作り、コンビニATMからローンで57万8千円を不当に出金した窃盗罪で起訴された。

消費者金融での被害額はAが802万円、Bが532万円、Cが818万円であったが、被害者代理人が消費者金融と協議し、男が債務者となることで不起訴となり刑事事件に問われなかった。

男の父親が用意した、窃盗罪での57万8千円の被害弁償の受け取りをAとBは拒否した。

公判で男は、借金の返済が出来なくなり、債権者から家族や職場に連絡が行くのを恐れての犯行だった。「指導やお叱りを受けるのが怖かった」から自分のことを信じてくれると思ったA、B、Cを選んだと述べた。

裁判官「普通、悪いことに使わないって言われても『イヤ』ってなると思うんですけど、なぜAさんたちはあなたにだまされたんですか?」

被告人「多分、私を仕事の面で信頼してくれていたからだと思います」

裁判官「手元に被害者たちの供述調書があるので少し読みますね」

A供述「〇〇さんはバリバリ仕事をする人。信頼のおける人だった」

B供述「私の〇〇さんの印象は仕事ができ、上司に信頼されている印象でした。上司からも『〇〇さんの言うことを聞いていたら間違いない』と言われていた。繁忙期は誰よりも朝早く出勤していた」

C供述「仕事の出来る人。みんなに信頼され尊敬されていた。私も〇〇を尊敬していた」

裁判官「こういう人たちをだましたことについてどう思います?」

被告人「…本当に…申し訳ないです…」

裁判官の言うようになぜこんなことになったのか不思議であった。消費者金融の代理返済、免許証を持たされての顔写真撮影、ヤバい相談であるのは容易に想像できるはずである。

それでも、疑いの余地がないほど被害者たちは男を信頼し、尊敬していたのだろう。

裁判所は男に懲役2年6月執行猶予4年の判決を下した。

信頼、仕事、仲間、金。

すべてを失った男に残ったものはギャンブル依存症と借金だった。

文/田辺朋之 内外タイムス

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