国連会議で沖縄「先住民族」巡り論戦 元衆院議員の杉田氏「沖縄の言葉は日本語の方言」主張 言語や歴史認識対立
スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた「先住民族問題に関する専門家会合」(EMRIP)で、沖縄県民の位置づけや沖縄の言語(しまくとぅば)をめぐり、日本側と先住民族団体側による激しい議論が繰り広げられた。本紙では、沖縄県民のアイデンティティや存在を揺るがしかねない同問題と、地球の裏側であるジュネーブの国連本部で繰り広げられる地方議員団らの活動の様子をシリーズで多角的に報告していく。今回は第6弾。
今回のEMRIPでは、「国際先住民族言語の10年」に関する議題の中で、沖縄の言語をどのように位置付けるかが主要な論点の一つとなった。
元衆院議員の杉田水脈氏は、NGO「史実を世界に発信する会」の立場で演説に立った。「沖縄の言葉は日本語の地方方言の一つであり、独立言語として扱うべきではない」と主張した。

演説では、「沖縄方言は古い日本語の語彙や文法を現在まで残しており、日本との深い歴史的・文化的つながりを示している」と説明。その上で、「沖縄県民を独立した先住民族として位置付けようとする動きは歴史的事実に反している」と述べ、EMRIPに対し「客観的な証拠と慎重な歴史研究に基づいて検証してほしい」と求めた。
杉田氏はまた、「沖縄の言葉は日本語の地方方言の一つであり、独立言語として扱うべきではない」とも主張した。
「日本には多様な方言が存在し、沖縄の言葉もその一つである。万葉集にも見られるような古い日本語の語彙が現在も沖縄に残されている」と説明した上で、言語学的にも日本語との連続性があると強調し、沖縄県民を独立した先住民族と位置づける動きは歴史的事実に反すると指摘した。
一方、会合には琉球の人々を先住民族と位置づけ、自己決定権や言語権の保障を求める団体も参加しており、双方の主張が対立した。
杉田氏は事前インタビューで、自身による慰安婦問題や基地問題の調査の経緯から「沖縄問題はさまざまな運動と結び付いていると感じた。慰安婦問題、基地問題、先住民族問題は同じ活動家ネットワークによって展開されていると認識している」との持論を語っていた。演説に向けては、沖縄の言葉(しまくとぅば)は日本語の地方方言であり、沖縄県民は日本人であって独立した民族ではなく、沖縄は植民地や先住民族地域には該当しないと主張する方針を提示した。
さらに、「現在は日本政府も同様の立場を取っていることが心強い。政府の立場を支えていくことが重要だ」と述べた。
また、13日のEMRIP第19回会合では、日本政府代表と石垣市議の友寄永三氏(石垣歴史の会)が事務局作成の研究草案(Draft Study)に対し修正を要求。沖縄県民を先住民族として扱う記述や、米軍基地由来とされるPFAS汚染問題を先住民族の権利侵害とみなす記述の削除ならびに修正を求め、「歴史的・科学的事実に基づく記述とすべきだ」と主張した。
今回の会合では、「沖縄県民は日本国民であり言葉は日本語の方言」とする日本政府や保守系団体の立場と、「琉球民族の自己決定権や言語権、基地負担などの人権問題」を主張する先住民族団体側の立場がそれぞれ演説を行い、議論を展開した。現在は研究草案の修正作業や最終報告書の取りまとめが待たれる。 (ジュネーブ特派員 吉岡綾子)



