NISAのために過剰な節約 老後の資産形成のはずが生活を圧迫
2014年に始まった少額投資非課税制度(NISA)の取り扱いをめぐり、投資業界の一部で、ある現象が目立ってきた。投資のために生活を切り詰め、投資に使う費用を捻出しようとする人が増加しているのだ。
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NISA口座を開設すると、上場株などに投資できる「成長投資枠」に240万円、主に投資信託が対象になった「つみたて投資枠」に120万円を投資できる。この枠は1年ごとに付与され、余った分は翌年に繰り越すことはできない。そのため、早く投資枠を埋めて少しでも投資で得をしようとする個人投資家が相次いでいるようだ。
NISAの制度は2014年に誕生した。株式の売買などで利益が出た際に課税される約20%の税金を免除し、老後資金の形成などが有利になるよう、国が後押しした制度だった。だが、当時は「一般NISA」「つみたてNISA」のどちらかしか選べず、一般NISAは投資から5年が経過すると課税対象になる通常の口座へ移管されるなど、制度の不十分さ、不便さも指摘された。
現在の制度に切り替わったのは2024年。「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げた岸田政権になってからである。この制度改正によって、年間360万円もの投資枠を使えるようになったが、これが結果的に「過剰な節約と投資」を行う人を増やす引き金になった。
節約して元本を確保し、投資に使うという方法自体は間違っていない。投資系YouTubeチャンネル「倹約の流儀」を運営するくらま氏は、食費、通信費、家賃などの各分野で節約を徹底し、投資資金を捻出。32歳にして1億円の資産形成を達成した。20年で資産が1億円に到達したというX(旧Twitter)ユーザーの絶対仕事辞めるマン氏も、納豆ご飯のような質素な食生活を続けたことで財を成している。
両者に共通しているのは、全世界の上場株式を対象にした「オールカントリー」など、つみたて投資の基本である分散投資系ファンドに資金を提供している点だ。だが、SBI証券が公開しているNISA枠の「週間買付金額ランキング」を見ると、この基本から逸脱した現象を見かける機会が増えている。
NISAの間違った使い方
7月13日から17日を対象にした買付ランキングの銘柄では、半導体関連企業のキオクシアホールディングスやフジクラが上位にランクインしていた。キオクシアホールディングスは6月22日に1株112700円まで値上がりしたが、7月21日には一時半値以下の51370円まで下落。フジクラも5月以降1株3888円から7933円を行き来する、非常に値動きの荒い展開を見せている。
冒頭で触れたとおり、NISAの正式名称は少額投資非課税制度という。小さな資金でコツコツと投資を行い、資産形成を行う手法を名前に込めたものだが、値動きが激しい半導体銘柄、激しく資金が出入りするジャンルのファンドへ資金を流入させ、利益を狙おうとする行為は、NISAの本来の目的に反している。
節約を重ねてNISA枠に投入できる資金を確保しても、投資先を間違えてしまえば損失ばかりが発生し、節約生活を延々と続けなければいけなくなってしまう。一過性のブームに乗ることなく、正しい投資先を見極めることが重要である。






