村上ファンド系がディー・エヌ・エー株を売買 繰り広げられる「神経戦」
旧村上ファンド系の投資会社が、ディー・エヌ・エー株をめぐって神経戦を繰り広げている。
7月1日に投資会社のシティインデックスイレブンスが大量保有報告書を提出。村上世彰氏が関与する投資会社ATRAとの共同保有比率が5.06%となり、4.99%から増加。しかし、7月15日に提出された大量保有報告書で3.76%に下がったことが明らかになっている。
今年最大のIPO「GO株式会社」の上場を利益につなげたDeNAの手法
シティインデックスイレブンスが株式を買い増したのは6月24日で、このとき2328.5円の安値1をつけている。一部を売却した7月8日は2671.5円の高値をつけたタイミングだった。安値から高値への上昇率は15%近い。
ディー・エヌ・エーの持分法適用関連会社でタクシーアプリ運営のGOが、6月16日にグロース市場に上場。これに伴い、ディー・エヌ・エーは2027年3月期に持分法投資利益を401億円計上すると発表している。GOの持株の大半を処分したことで、ディー・エヌ・エーの持株比率は25.75%から4.99%まで下がった。持分法適用関連会社から外れた形だ。
目先の材料が出尽くしたためか、401億円もの持分法投資利益を計上すると発表したにもかかわらず、株価は続落。株価が大きく下落したタイミングで、シティインデックスイレブンスが拾い上げたわけだ。
今後は売却益を何に使うかに注目が集まる。ディー・エヌ・エーは資本効率向上に向けたアクションとして、株主還元の拡充を宣言している。2025年3月期は1株あたりの普通配当が33円だったが、2026年3月期は66円に引き上げた。500億円の自社株買いも実施している。
一方、中期的な成長の実現に向けたM&Aなどの投資も計画している。投資家としては手厚い株主還元に期待したいところだ。旧村上ファンドは一部を処分したとはいえ、4%近い大株主なのである。
GO効果一巡後の次なる一手
シティインデックスイレブンスは、ディー・エヌ・エーの株式の追加取得または売却の可能性について、株価が割安であると判断した場合、今後3カ月以内に保有比率を5%超まで引き上げることを示唆している。保有目的として、資本政策の変更などの提案をすることにも言及した。
旧村上ファンドは2025年10月にディー・エヌ・エー株を買い進めた。一時は保有比率が6%を超えていた。
ディー・エヌ・エーは2026年2月27日、資本コストや株価を意識した経営をすることを掲げ、保有していた任天堂の株式の一部を売却すると発表。売却額は350億円近くに達した。それに合わせて上限で500億円の自社株買いを決定している。
ディー・エヌ・エーはIR説明会で資本政策について問われ、「特定の株主に関することは回答を差し控える」と答えたが、時期を考えると旧村上ファンドが株式を取得したことと無関係とは言い切れない。
ディー・エヌ・エーの株価は再び軟調になりつつある。7月16日は2395円の安値をつけたが、7月3日の高値は2699.5円だった。11%下がっているのだ。シティインデックスイレブンスが株式を買い増した6月24日の水準に近づいている。すでにPBRは1倍以下であり、東証が改善を要請している目安を下回った。
ディー・エヌ・エーが2月27日に決定した自社株買いは、7月7日に上限の500億円に達して終了している。アクティビストに狙われる材料は多いように見える。
ディー・エヌ・エーが潤沢な資金を何に使うのか。そして、旧村上ファンドはどのような動きを見せるのか。静かな神経戦が繰り広げられている。
文/不破聡 内外タイムス






