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【田母神俊雄のニュース・レビュー】日本政府は農家を守れ 準公務員的な扱いにして所得補償も検討すべき

先日、テレビを見ていたら日本の専業農家で農業に従事する人口がついに100万人を切ったという報道があった。農林水産省が5年ごとに公表する最新の農林業センサス(2025年)では、基幹的農業従事者人口は102万人、平均年齢は67.6歳、65歳以上の高齢者は71万人(69.5%)、20代以下の基幹的農業従事者人口は1万2600人(1.2%)という数字になっている。

20年前の調査では、基幹的農業従事者人口は224万人、平均年齢は64歳、65歳以上の高齢者の割合は49%であった。若者の農業離れが進み、農業従事者の人口は、この20年で半減以上の速度で減少している。

現在のところ、日本国民の食料は海外から十分に輸入され、日本国民が食料不足で困っているという状況にはないが、国際情勢はいつどのように変化するか分からない。国際社会ではウクライナ戦争は終わる気配がなく、イスラエルとアラブの戦争も2年以上も継続している。

さらにアメリカとイランの戦争もどう展開するのか先行きが読めない状況にある。状況の変化によっては我が国が食料輸入に困難を来す場合もあるかもしれない。しかし、食料の確保こそが国民の安全保障の根幹である。

そういう意味で、現在他の先進諸国に比べると格段に低い我が国の38%の食料自給率を改善しておくことが必要ではないか。今のままでは新規農業従事者は今後とも減り続け、食料自給率は下がり続けるであろう。

欧米の多くは手厚い所得補償や補助金制度が整備されている

なぜ、若者が農業を職業として選ばないのか。それは長時間労働、仕事は厳しい、利益は格段に低いという状況があるからだ。私は農村地帯で育ったが、親たちは子どもに対し、これから農業で食べていくのは難しいから、街に出て他の仕事を見つけるよう勧めている。私の実家の周辺には、私が若い頃29軒の農家があったが、現在、農家として残っているのは1軒だけだ。

日本の農業には未来がないのだ。農業でももうかる国の体制があれば、若者は農業を職業として選択する。農家は朝食前にも、草刈り、給水などの仕事をこなす。日中の仕事を終えた後、夕食後にも翌日の準備、農機具の手入れなどで1日12時間以上働いているのは普通だ。

しかし、それでも利益は他の職業に比べて非常に低い。農家の人たちの貧しい、厳しい生活が国民生活を支えているのだ。これでは人が集まるわけがない。テレビなどに出て来る利益がある農家というのはほんの一部なのだ。

政府はもっと農家に対し補助金などを充実させるべきだ。マスコミなどでは日本だけが農家に過剰に補助金を出しているなどと報道されることがあるがそれは全く誤解である。欧米では農家は、食料安全保障や環境保全を担う公共的役割が重視され、日本よりも手厚い所得補償や補助金制度が整備されている国が多いということを知るべきだ。

これまで日本の農家は先祖代々の土地を守り抜くという決意で、頑張ってきたが、家督相続制度が廃止されたこともあり、もはやこれ以上の頑張りを期待することには無理がある。農家を準公務員的な扱いにして、所得補償をすることも考えるべきだと思う。

第29代航空幕僚長 田母神俊雄

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