• 全国
  • 女性初のG1制覇、今村聖奈騎手と父・康成氏Wインタビュー(第3回)女性騎手としての自覚、結婚観と理想の男性像
  • HOME
  • 全国
  • 女性初のG1制覇、今村聖奈騎手と父・康成氏Wインタビュー(第3回)女性騎手としての自覚、結婚観と理想の男性像

女性初のG1制覇、今村聖奈騎手と父・康成氏Wインタビュー(第3回)女性騎手としての自覚、結婚観と理想の男性像

強烈な末脚に乗って競馬界に突如現れたニューヒロイン。2026年のオークスを制し、JRAの女性騎手として初めてG1を勝ったのが今村聖奈騎手(22)だ。ヘルメットに装着したジョッキーカメラの迫力ある映像で、普段はそれほど競馬を見ないファンも魅了した。

父親の今村康成調教助手(47)とともに内外タイムスが父娘ダブルインタビュー。第1回はレース当日の様子やその後の心境の変化、第2回では乗馬苑に通った幼少期から厳しいトレーニングを乗り越えてプロになった同期のきずなについて語った。

第3回は女性騎手としての今後や目標について。今をときめく22歳の乙女の胸の内に迫った。

休日も馬と戯れてリラックス

オークスでセンセーショナルな勝利を挙げてから多忙な日々を過ごす。今もオフらしいオフはないという。

聖奈「忙しいことはありがたいなと思うんですけど、丸一日の休みはあんまりないですね。リラックス法は寝ることです。あとは小さい頃からお世話になってた乗馬クラブに行って馬を触りに行って懐かしいなと思うこともあります。ジョッキーでも休日は馬に触らない人もいて、変わってるなと周りから言われますけど、自分は自然と行きたいなと思って行ってます」

心底、馬が好きなのだろう。休日は仕事を忘れて…という人には理解しがたいかもしれないが、聖奈にとっては馬とふれ合うことがリラックス法なのだ。幼少期から戯れてきたからこそ通じる馬との会話が初心を取り戻させてくれる。

聖奈「馬も人間と一緒で生き物なので、性格は十人十色ですし、意志の強い馬であったり気持ちの弱い馬であったり、すごく走るのが得意な馬であったり、走り方がまだ分からない馬であったり、いろんなタイプの馬がいます。人間も熱くなりすぎるとイラッとしてしまって馬と合わないこともあります」

また、ジョッキーとしての姿勢や考え方については、師匠の寺島良調教師の教えも大きいと力説する。学んだことを尋ねるとこう答えた。

聖奈「人に干渉しすぎず自分を貫く点です。自分は悩み始めたら無限ループになることがあるんですけど、相手の意見も尊重しつつ自分自身を見失わないことはすごく大事かなと思います。師匠はすごく交友関係も広くて、人として尊敬する部分がたくさんあるので、身近にいるからこそ学べる部分もありますし、敵を作らないことって大事なんだなと思います」

それには父・康成氏も同調した。

父「彼女は寺島先生に育てていただいています。彼女の師匠は寺島先生一人しかいないので」

女性騎手として引っ張っていく存在に

昨年、初の女性総理として高市早苗首相が誕生し、日本でもようやく各界で女性の活躍が目立つようになってきた。聖奈のG1制覇がそんな流れを加速させ、日本中の女性に勇気を与えることは間違いないだろう。そのあたりは本人も十分に自覚している。

聖奈「結婚などのきっかけで人生の第2段階に行かれる先輩ジョッキーの方々も多かったんですけど、前例のない形を作っていかないといけない立場であると思っています。藤田菜七子さんが引退され、永島(まなみ)さんとか古川(奈穂)さんとか私とか、女性騎手として発言しなければならない立場になってきて、後輩もたくさん増えてきますし、ジョッキーになりたい、なってよかったなって思ってもらえるような、引っ張っていく存在にならないといけないなと思うんです」

仮に結婚という大きな節目を迎えてもジョッキーであり続けたい。そんな思いがにじむ。

聖奈「相手の人がジョッキーは危ないからやめてくれって言ってるのにジョッキーをやるって言ったら離婚案件だと思うし、自分はジョッキーを長く続けたいと思ってるのを受け入れてくれるのであればやってもいいかなって思います。心境の変化もあるかもしれないし、実現できるかどうか分からないけど、頭の片隅に入っています」

人気上昇中のアイドルジョッキーが結婚すればビッグニュースだろう。理想のタイプはどんな男性なのか。

聖奈「自分を持っていて優しい人。自分の持ってないものを持っているような、顔の整ったかっこいい人がいいですね」

最後の部分に22歳の乙女のホンネがのぞいた。もし妻になっても、母になっても、ジョッキーを続けたとしたら、それこそ世界中の女性の憧れの存在となるだろう。しかし、本人は夢も希望も広がる今後を現実的に見据えている。

聖奈「一頭一頭しっかり向き合って、たくさんの人に喜んでもらえるような結果を出すのがジョッキーとしての責任だと思います。そう簡単にはいかないので、次の1勝を目指して頑張ります」

オークスを勝っただけに、次なる大目標が飛び出すかと思いきや、目指すのは「次の1勝」という。いまだ日本馬にとって未踏の頂であるフランス「凱旋門賞」や高額賞金の「ドバイワールドカップ」など海外レースにも関心を示さない。

聖奈「まず乗れることが簡単じゃなくて壁が大きすぎるから、(野望は)あんまりないですね。巡り合わせで馬に連れて行ってもらえることもあると思うし、その時に結果を出せる準備はしていきたいなとは思いますけど」

娘を気遣う父と、父にプレッシャーをかける娘

常に気負うことなく自然体。それが聖奈の勝負強さの秘訣かもしれない。父親からの期待についても聞いた。

父「体が一番基本なので、まず怪我をしない。これが一番だと思います。彼女にとって大きなプレッシャーになっても困りますので、人馬ともに無事にゴールしてくれたらそれだけで十分です」

紛れもない父親のホンネだろう。そんな思いを聞いた聖奈に、父親の存在について聞くとこう答えた。

聖奈「友だち」

思わず吹き出しそうになったが、決して冗談ではなく、次のようにフォローした。

聖奈「父が大変な思いをしてこの世界に足を踏み入れてくれなかったら多分、自分はジョッキーにならなかったと思うし、すごく感謝しています。すごく話しやすいので本当に友だちみたいな関係なんです」

さらにこう続ける。

聖奈「早く調教師免許を取ってもらえればいいかな。そうしたらもっと私自身もジョッキーとしてのモチベーションが上がるんじゃないかなと思います。これはプレッシャーですね。親は娘に気を遣って言わなかったんですけど、私は親には気を遣わずにプレッシャーをかけます」

調教助手として仕事をする父親へのプレッシャー。こういう茶目っ気こそ聖奈の魅力だろう。隣で康成氏は苦笑いするしかなかった。最後に内外タイムスの読者にメッセージを送ってもらった。

聖奈「今回のオークスを地元の同級生がたまたまテレビで見たって連絡をくれたり、競馬をあまり知らない人もヘルメットカメラをのぞきに来てくださるきっかけになったみたいで、そういった影響を与えられたのはすごく嬉しいです。競馬はお客さんありきで成り立っているので、少しでも興味を持って競馬場に遊びに来てくださって、またかっこいい姿を見せることができたらジョッキー冥利につきると思います」

《プロフィール》
今村聖奈(いまむら・せいな)2003年11月28日生まれ。2022年に寺島良厩舎からデビューし、17戦目で初勝利。7月のCBC賞をテイエムスパーダで重賞初騎乗初制覇するなど、ルーキーイヤーに51勝を挙げ、最多勝利新人騎手賞を受賞。2025年に女性騎手として史上3人目のJRA通算100勝を最速で達成した。

今村康成(いまむら・やすなり)1978年10月19日生まれ。1997年に騎手デビューし、翌1998年に136戦目で初勝利。2001年の中山大障害でユウフヨウホウに騎乗し、唯一の重賞となるJ・G1初勝利を挙げる。平地5勝、障害40勝の成績を残して2012年に引退し、現在は飯田祐史厩舎で調教助手を務めている。

JRA公式チャンネルより

関連記事一覧