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「妻に対して女性差別的だった」と謝罪した前代未聞の記者会見、 資料は有料販売の衝撃

革命家たちの「初会見」は、1時間20分の長丁場だった。

6月20日、都内の会議施設。新左翼党派・中核派から分裂した「現代革命労働者党」が、結党後はじめての記者会見を開いた。

壇上に立ったのは代表の矢嶋尋氏、矢嶋真弓氏(旧姓・石田、活動名は石田を継続とのことなので、以下は石田表記)、そして中核派機関紙「前進」の元編集長・水樹豊氏の3人。大手メディアの記者も集まったが、会見の内容はいい意味でも悪い意味でも、予想を外れるものだった。

5月に「現代革命労働者党」結成を宣言

中核派といえば、1957年に結成された新左翼最大党派だ。正式名称は「革命的共産主義者同盟全国委員会」。1984年には自民党本部への放火、翌85年には首都圏の国鉄ケーブルを切断して交通をまひさせた。「過激派」という言葉が最も似合う組織と言っていい。その中核派が昨年秋、内部から揺れた。

全学連委員長だった矢嶋氏が、夫で党政治局員の石田氏の言動を「女性差別的だ」として告発する文書を党内に提出したのが2025年8月のこと。その後、夫婦は和解したが、執行部は石田氏を処分。矢嶋・石田氏を支持する学生グループが反発し、党は真っ二つに割れた。

9月6日の全国委員会総会で亀裂は決定的となり、矢嶋・石田氏らは公然拠点だった江戸川区の前進社ビルから身一つで追い出された。

機関紙「前進」サイトは石田氏を「反革命」と激しく非難。かつての血で血を洗う内ゲバを知る世代には緊張が走ったが、京都での両派の乱闘騒ぎはあったものの、大事件には至らなかった。今年5月、矢嶋・石田氏らは「現代革命労働者党」の結成を宣言。今回の会見はその初の公開の場だった。

自己批判、中核派批判など冒頭の発言だけで1時間20分

記者たちがまず驚いたのは「資料が有料」という仕組みだ。配布物は石田氏による67ページの自己批判PDF、そして登壇者の氏名と経歴を書いたプリント1枚のみ。会見中に言及される資料は別途有料販売というスタイルで、結党を知らしめる場として準備が十分だったかは疑問符がつく。

さて、満を持して始まった記者会見、冒頭は矢嶋氏が20分にわたり中核派を批判。石田氏は「妻に対して女性差別的だった」と記者団の前で謝罪し、そこから30分以上の自己批判と中核派批判が続いた。水樹氏の経緯説明まで含め、冒頭の発言だけで1時間20分。「革命党」の会見は、なかなかの重量感だった。

質疑応答はさらに1時間超。大手メディアが法的位置づけや他党派との連携方針を確認するなか、筆者は踏み込んだ質問をしてみた。

「米帝の危機」に「説明不足だった」

まず聞いたのは「1991年の五月テーゼ(武装闘争から大衆運動重視への転換を示した路線文書)についての評価は」というもの。これに対しては、矢嶋氏は「組織内で見解を一致させてから表明すべき」とし、今後の革命における軍事路線については明言を避けた。

さらに尋ねたのは、党の情勢分析だ。機関紙の最新号1面では、情勢分析を語る中で「米帝の危機」の根拠として6月5日のテック株急落を挙げている。しかし、これを危機とするのは、いささか疑問だ。「日本経済新聞」などを読めば、この急落は雇用が順調な中で、FRBが利上げをするという予測が出たためということはすぐわかる。

いわば、市場のありがちな値動き。実際、その後はすぐに回復。なにより、ナスダックをみると昨年来値動きはずっと右肩上がりで、過去半年間で5000ポイント以上上昇している。

つまり、米帝は危機どころか、ますます盛んなのではないか……。

これにいささか困った顔をしてマイクを握ったのは、水樹氏であった。「一日の動きを証拠とした点は説明不足だった」とは認めつつも、こう語った。

「製造業が空洞化しており、末期的状況を示していると考えている」

水樹氏は、中核派ではレーニンの文献の解説書も執筆してきた理論派。レーニンの文献は、どれも情緒ではなく農工業の統計を示して分析するのが定番。それを知っているからこそ、若手たちの情緒が先走った書きぶりを指摘され、いささか困惑しているように見えた。

「内乱罪で逮捕されて死刑になるところまでは想定している」

その上で、最後に聞いたのは革命に対する覚悟だ。もしも党が世界革命を目指す革命党だというなら、どうやっても流血は避けられない。ならば、矢嶋氏も自分が死ぬ、あるいは人を殺さなければならない局面がやってくるかもしれない。それに対しては、どういう覚悟で臨んでいるのか。

これに対して、マイクを手にした矢嶋氏は、こう語った。

「内乱罪で逮捕されて死刑になるところまでは想定している……帝国主義と死闘を演じる覚悟はある」

その言葉にうそはないだろう。矢嶋・石田・水樹の3氏は、話を聞けば聞くほど、まじめで誠実な印象を受けた。ただ、現段階でこの党が「革命党」として成立しているかとなると、首をかしげざるをえない。革命路線の核心は「研究中」、軍事戦略は「これから決める」、世界大戦の起点は「歴史が証明してから」。当面の活動は国会前デモだ。

なにより気になったのは、女性差別の問題を語る中で彼らの語った男女間の「同意」の問題だ。性行為の同意・非同意の問題は近年もっともよく取り上げられる問題だ。これについて、彼らは過去に同意していたとしても、遡及して覆すことができるという主張をしている。

これはかなりラジカルな主張だ。さすがに気になって、世界のフェミニズムではそうした理論が形成されているのかと調べてみたが、そんなものはなかった。つまり、現時点でもっともラジカルな主張といえるだろう。

「同意の遡及的撤回」を認めると、あらゆる過去の性的関係が事後的に「暴力」として再定義される可能性が開く。誰と誰の間のどの行為が、いつ、誰の判断で覆されるのか。革命党の方針としては、なかなかにスリリングな出発点だ。

「帝国主義と死闘」を誓う党が、どこに向かうのか。思想の深化が試されるところだ。

文/昼間たかし 内外タイムス

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