1000万回線を突破したものの「つながりにくい」楽天モバイルに迫るタイムリミット
KDDIが手がける携帯電話用料金プラン「povo」に関する説明会が18日に行われた。KDDI Digital Lifeの社長を務める濱田達弥氏は、povoがメーン回線として使われる例が増加したなど、通信をとりまく環境の変化を絡めながら、5年間の総括と今後の展望を語った。
公開された資料の中には、povoをサブ回線として使用しつつ、別回線をメーンで使用する人の割合なども発表。独自の調査を行ったというメーン回線に対する満足度も紹介し、KDDIは91.2%、A社は87.6%、B社は44.4%、C社は38.4%と記載されたグラフが登場した。
濱田社長は企業名を明かさずに続けたが、povoの新トッピング(新プラン)を発表した後に行われた質疑応答では、ITジャーナリストの石川温氏が「6月に入ってからC社のネットワーク品質が一気に落ちたような気がする」という枕詞をつけた質問を展開。濱田社長は特定の社名を出すことなく、質問への回答を行った。
SNSでは、グラフで使われていた色を考慮した上で、A社はソフトバンク、B社はドコモ、そしてC社は楽天モバイルのことを指しているという意見が相次ぎ、それぞれの回線に関する満足度や不満、評価などが投稿された。
そもそも楽天モバイル自体は、MVNO(格安SIM)の時代を含めると10年以上の歴史がある。シェア拡大を進める中で、DMM mobileやb-mobileといった競合する格安SIMのブランドを吸収した上で、2020年より自前で通信環境を展開するサービスに転換した。
当時、基地局が圧倒的に不足していた楽天モバイルは、KDDIの基地局を借りる形で通信サービスを展開。提供するプランは、データ通信料に応じて価格が変動するRakuten UN-LIMIT(現楽天最強プラン)に絞り込むという戦略で、他社のシェアを奪いに行った。
親会社の楽天が提供する株主優待にて、一定の条件下であれば通信費用が無料になるプランを提供するなど、採算度外視のサービス提供を相次いで行ったことも功を奏してか、2025年12月には1000万回線という大台の契約数を突破。順調な成長ぶりを見せているが、楽天モバイルは「ローミングサービスの段階的な終了」という爆弾を抱えている。
YouTubeもLINEも使いにくくなる
現在の契約上、KDDIの基地局を使えるのは今年の9月まで。それ以降は全て自前の基地局で対応をしなければいけない。サービス開始当初より、KDDIの基地局を使うエリアは段階的に減らしているのだが、品質が良いと言われるKDDIの基地局を使えなくなったことが、楽天モバイルの品質低下にも直結してしまったとみられる。
実際、大手町、品川、新宿、渋谷の各地域にある人口密集エリアでは、品質の低下を明確に感じられる時間帯とスポットを確認できる。YouTubeやChatGPTはもちろん、LINEやポケモンGOのような通信量の少ないアプリでも通信エラーが発生し、データ通信を介して電話を行う「Rakuten Link」すら正常に作動しなくなることもあった。
顧客獲得のためにお得なプランを提供して通信回線を圧迫し、品質の低下につながるという流れは、かつてソフトバンクが通ってきた道でもある。2010年に「ソフトバンク電波改善宣言」を発表した後は、物理障害に強い「プラチナバンド」の帯域を獲得し、基地局を急増させるなどの基本的な施策を徹底。品質の向上につなげてシェアも増やした。
一方、楽天モバイルはサービス開始から早い段階でプラチナバンドを手にし、KDDIの回線を使って通信環境を整備する「ハンデ」をもらった上でサービスを提供してきた。楽天モバイル会長の三木谷浩史氏が前線で指揮を執ってシェア獲得に奔走するが、インフラ整備のタイムリミットが目前に迫っている。


