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ビデオ通話の一瞬の乱れ、リモート面接でマイナスイメージの可能性 コロンビア大の研究チームが分析

ビデオ通話で映像が一瞬止まったり、音声が途切れたりする小さな不具合は、単なる不便にとどまらず、相手への信頼や採用判断にも影響する可能性があるようだ。

米コロンビア大学などの研究グループによる論文が、英科学誌「Nature」に掲載されている( https://doi.org/10.1038/s41586-025-09823-0)。遠隔医療、就職面接、金融相談、仮釈放審理など、重要な場面で広がるビデオ通話は、対面の代わりとして十分に機能するのか。通信のわずかな乱れが、評価や意思決定をゆがめている可能性が示された。

研究チームは、複数の実験と実際のビデオ通話データを組み合わせて、映像や音声の乱れが対人評価に及ぼす影響を調べた。不具合には、画面のフリーズ、音声の途切れ、音声と映像のずれ、画面の乱れなどが含まれる。

遠隔医療や就職面接で評価が低下

まず、初対面同士が約25分間会話した1645件のビデオ通話データを分析したところ、不具合を経験した人は、相手を好ましく感じにくく、会話で共通の理解を得られた感覚や、自分の話を聞いてもらえた感覚も弱かった。不具合があった通話は全体の約4分の1に上った。

遠隔医療を想定した実験では、健康専門家の説明中に2秒以下の短いフリーズが入ると、専門家や助言への信頼が低下した。別の実験では、不具合のある動画を見た参加者が、その専門家と実際に会いたいと答える割合は61%で、不具合がない場合の77%を下回った。

就職面接の場面でも影響は出た。録画された面接動画に10種類の不具合を入れて評価させたところ、不具合がある動画では採用したいという意向が低くなった。さらに、米ケンタッキー州のオンライン仮釈放審理472件の記録を分析すると、不具合の兆候がある審理では仮釈放が認められた割合が48.1%で、不具合が確認されない場合の60.1%より低かった。

ただし、この仮釈放の分析は実データに基づく関連を示すもので、不具合が直接の原因だったと断定するものではない。

「対面らしさ」が壊れると「不気味さ」が生じる

研究チームが注目したのは、不具合が会話を邪魔するだけでは説明しきれない点だ。ビデオ通話は、相手の顔や声を同時に伝えることで、向かい合って話しているような感覚をつくる。しかし、顔が一瞬固まる、口の動きと声がずれる、動きがぎこちなくなると、その「対面らしさ」が壊れる。

これにより、奇妙さ、不気味さ、違和感を伴う「アンキャニー」な感覚が生じ、相手への評価を下げるという。

実際、不具合の種類によって悪影響の大きさは異なり、「不気味」と感じられやすい不具合ほど採用意向を強く下げていた。一方で、画面共有された資料映像が乱れる場合には、不具合そのものは感じられても、相手への評価は大きく下がらなかった。問題は、単なる技術的な中断ではなく、人の顔を見ながら対面に近い会話をしている最中に、その感覚が破たんするところにあるとみられる。

この結果は、オンライン化が必ずしも公平性を高めるとは限らないことも示している。遠隔医療やオンライン面接は、地方在住者や移動が難しい人に機会を広げる一方、通信環境の悪い人ほど不具合にさらされやすい。低所得層や通信インフラの弱い地域の人が、医療、雇用、司法の場面で不利になる可能性がある。

研究チームは、不具合を事前に知らせても悪影響は十分には抑えられず、単に謝って認めるだけでは逆効果になる場合もあったとしている。ビデオ通話は便利な代替手段として定着したが、通信の質が本人の能力や信頼性の評価に紛れ込む危険もある。

重要な判断をオンラインで行う場合には、接続環境を個人任せにせず、制度側で不利益を減らす工夫が必要になりそうだ。

文/吉田光男 内外タイムス

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