我が子をYouTuberに「キッズ動画配信塾」が盛況、“表現力”向上の期待と“ネットリスク”を恐れる親の葛藤
スマホやタブレット端末が家庭に広く普及した現代、子どもたちの将来の夢として「YouTuber」が定着して久しい。流行を背景に小中学生を対象とした動画制作スクールや、オンラインで個別に指導を受けられる「動画配信塾」が各地で盛況だ。子ども向け動画制作スクール「FULMA(フルマ)」などの事業者が登場し、自宅にいながらプロのクリエーターから撮影や編集の技術を学べる環境が整いつつある。
しかし、我が子をネットの表舞台に出すことに対して、期待と懸念の間で葛藤している保護者も多い。動画配信の習い事は、単に映像を切り貼りする技術の習得にとどまらない。アイデアを形にする表現力や、コミュニケーション能力、さらには見る側の心理を想像する力が培われるとされる。
近年では小学校の授業でもタブレットを使った発表の機会が増えており、動画制作を通じて得たスキルが学校生活での自信につながるケースもあるようだ。
また、ショートムービーやプレゼン系の動画コンテストも増加しており、「キッズ&ティーンズ SDGs動画コンテスト」や、1分間の映像を競う「One Minute Videoコンテスト」など、低学年から応募できる公募が子どもたちの挑戦の場として注目を集めている。
文章を書くことが苦手な子どもであっても、デジタルネイティブ世代ならではの感性を生かして、楽しみながら自己表現に取り組める点が、保護者からも好評だ。オンライン受講であれば、送り迎えの負担がなく、他の習い事と両立しやすい点も人気の要因となっている。
一度炎上したら一生のデジタルタトゥーとなる危険性
だがその一方で、我が子の動画が不特定多数の目に触れることへの危機感は根強い。ネットに一度流出したデータは完全に消去することが極めて困難であり、何気ない背景の描写や発言から、自宅の場所や通っている学校などの個人情報が特定されるリスクが常に付きまとう。
さらに、顔写真を公開することによる防犯上の危険性や、匿名のユーザーから浴びせられる誹謗(ひぼう)中傷から、精神的に未熟な子どもの心を守れるのか、親の不安は尽きない。
スクール側も動画編集の技術だけでなく、イラストや音楽の著作権、友だちの肖像権、そしてインターネットを安全に使うためのネットリテラシー教育に力を入れているが、配信のボタン一つで世界とつながるリスクを完全にゼロにすることは極めて困難だ。
ネット上でも、こうしたキッズ動画配信塾をめぐっては、
「動画編集の技術自体はこれからの時代に間違いなく役に立つスキルだし、子どもが自主的に楽しんで取り組める習い事として通わせる価値はあると感じる」
「どれだけリテラシーを学ばせても、ネットの世界は一度炎上したり目を付けられたりしたら終わりなので、親が完全に管理できないうちは一般公開の配信は絶対にさせたくない」
「コンテストへの応募や家族間での共有に留めるなら良い刺激になるが、収益化や有名になることを目指して顔出しで活動させるのは、子どもの将来の安全を考えるとリスクが高すぎるのではないか」
など、さまざまな意見が聞かれる。
動画スキルが子どもの創造性を豊かにする手段となるのか、予期せぬトラブルの引き金となるのか。それぞれの家庭で模索が続きそうだ。


