大規模再開発の7割で見直しや中断・中止、スクラップ&ビルドという発想を見直す必要性
東京・中野区のシンボル「中野サンプラザ」再開発計画が白紙になって1年余り。一等地なのに、今後どうなるか見通せない。
新宿駅南口の再開発も先行き不透明だ。既存ビルの解体は進んでいるものの、新しいビルの完成時期は未定という異例のステータスになっている。
名古屋の名鉄百貨店は2月28日で71年の歴史に幕を下ろした。ビルなどを解体し、10年以上かけて地上31階の超高層ビルを建設する予定だった。しかし、ビル解体工事を含め、スケジュールはすべて未定となった。
日本経済を支えてきた大規模再開発は今も全国各地で行われているが、実は大都市ですら行き詰まっているケースが多い。NHKが全国の駅周辺の再開発について主体となる企業や自治体にアンケートを行ったところ、回答したうちの7割が計画の見直しや中止、中断を迫られていると答えた。
大規模再開発が行き詰まっている最大の理由は、建設資材の価格上昇と人件費の上昇だ。そして、今春は中東情勢の影響で、塗料など石油関連資材の確保が難しくなったこともある。
スクラップ&ビルドという発想が古い
NHK「クローズアップ現代」のインタビューで日本建設業連合会の宮本洋一相談役は「今の再開発は10年も15年も前から計画しているもの。そのときに比べると確実に値段は上がっている」と話し、長期にわたる工事のリスクを示唆した。デフレからインフレに変わり、建設費がどこまで膨らむか見通せず、受注をためらうゼネコンや建設会社が相次いでいる。
さらに、データセンターや半導体関連工場の建設ラッシュという別の要因もある。そちらは、産業競争力を強化するため、国が補助金を投じるなどして後押ししている。データセンターや半導体関連工場は、再開発に比べ工期が短いため、工事費の上昇リスクが低い。
電気や空調設備といった内部の工事は「サブコン」と呼ばれる専門業者が請け負うが、ゼネコンやサブコンにとってはそちらのほうが魅力的だ。
再開発事業が進まないと、閉店した商業施設や老朽化したビル・建物がそのまま放置されることになるので、地域経済に悪影響を及ぼし、防災上も良くない。ただ、少子高齢化社会なのに、従来通りの再開発自体に無理がある。
欧米の再開発事業を参考にする必要性
広い土地を確保して、なるべく大きく高く建物を造るというやり方は、ゼネコンや開発側は賃料などで大きな利益を得ることができるが、それ自体を見直す必要がある。
欧米の再開発事業では、古い建物を日本のように「壊して更地にし、巨大なビルを建てる(スクラップ&ビルド)」のではなく、「いかに既存の建物を生かし、価値を高めて使い続けるか」というアプローチが主流だ。
もちろん、石やレンガ造りは建物自体が長持ちするという違いはあるものの、そもそも日本では「建物の価値は30年でゼロになる」という前提で新築が好まれる傾向がある。個人用家屋ではやっと近年になって、中古住宅市場が整備されてきたが、まちづくりの意識は古いままだ。
文/横山渉 内外タイムス


