基調講演した中西氏 =22日、市役所・2階大ホール

地下水保全と産業振興両立へ 市主催シンポ 硝酸性窒素濃度は減少傾向を報告

 「地下水保全と産業振興の両立を目指し、持続可能な地下水の保全と農業の未来について共に考える機会にしよう」と第2回宮古の地下水と農業を守るシンポジウム(宮古島市主催)が22日、市役所で行われた。基調講演した元東京農業大学教授の中西康博氏は、白川田水源地など主要水源地のデータ解析を説明し「農家への継続的な啓発講習会やサトウキビを植え付けるときに化学肥料を施さないなどの取り組みで1998年以降、地下水硝酸態窒素濃度は減少傾向にある」と報告した。

耳を傾ける参加者ら


 冒頭、嘉数登市長は「地下水と農業は持続可能な未来を築く上で最重要課題。島にとって清らかな地下水は生命線であり、農業は地域経済を支える基幹産業」だと強調。「かけがえのない地下水を保全しつつ農業をいかに振興していくか。地下水保全と産業振興の両立こそが恒常的な使命であり、シンポジウムのテーマ」とあいさつした。
 内容については「基調講演では硝酸性窒素問題への取り組みをケーススタディーとして紹介していただく。パネルディスカッションでは専門家と多角的な視点から議論する」と紹介し、「得られた知見や意見を真摯に受け止め持続可能な地域社会の実現に向け全力を尽くしていきたい」と述べた。
 中西氏は「サンゴの島の地下水保全―宮古島の地下水窒素濃度が下がったー」の演題で講演。東京農業大学宮古亜熱帯農場の勤務時に宮古島の地下水保全に関わった。講演では硝酸性窒素による地下水汚染問題や硝酸・亜硝酸態窒素に関する水質基準などを説明した。
 宮古島については「ほとんどが農地で雨水の4割が地下水となる。年間の雨量は約2000㍉で(割合から)水量は豊富で市民は飲料水に困ることはない。ところが土地開発が進むと降った雨が浸透するので地下水の水質に気をつけないといけない」と注意を促した。
 また、1970年ごろからの地下水硝酸態窒素濃度の推移や夏植えサトウキビの施肥時期に関する調査結果も説明。宮古島市の水道水源地のデータ解析では「白川田水源地など5つの主要水源地における地下水硝酸態窒素濃度は1998年以降、ほぼ一定率で減少傾向にある」との現状を示した。
 減少傾向への対策効果については農家への継続的な啓発講習会、サトウキビを植え付けるときに化学肥料を施さないなどの取り組みを挙げた。
 パネルディスカッションでは酒井一人氏(地下水審議会学術部会委員、琉球大学教授)をコーディネーターに中山祥嗣氏(エコチル調査コアセンター次長)、前里和洋氏(宮古島地下水研究会)、友利一雄氏(下地地区さとうきび生産組合副組合長)、梶原健次氏(市環境衛生局長)、下地貴之氏(市農林水産部長)が専門的な立場からの取り組みや意見を述べた。

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