#11 川上高司「第一列島線をどう守るかー日米の戦略的連携の強化」

第一列島線をどう守るかー日米の戦略的連携の強化 川上高司

 トランプ政権が発足する。トランプ次期大統領が公約通りウクライナ戦争を終結させると、次の課題は、いかに台湾危機を乗り切るか、どう第一列島線~第二列島線を防衛するかが大きな課題となろう。

 台湾が「香港化」されればアジアの軍事バランスは一気に中国に傾く。中国の戦略は第一列島線から第二列島線まで米軍を後退させることにある。そうなれば横須賀に駐留する米空母をはじめ在日米軍の活動に重大な支障がでる。米軍はオフショアバランスに転換し、在日米軍はデ・ファクト(事実上)で有事駐留となる可能性もある。

 したがって、第一列島線の大部分を構成する日本・台湾・フィリピン・韓国は、米国とともに西太平洋戦域内のパワーバランスの維持が重要となる。現在、米国は中核となる同盟国とのC2(Command and Control) 体制作りと戦略構築を推し進めている。

 日本では、陸上自衛隊の南西諸島全域の対艦ミサイルの配備と米軍との相互補完体制の構築が要となる。第一列島線上で日米がどのエリアに責任を持つのか。どのように相互支援をするのか。さらに中国が第一列島線を超えて、第二列島線沿いに基地を作っている状況をどう防ぐのか。あるいは、もし中国が「南西の壁」を攻撃してくれば、自衛隊のみならず駐沖米軍が共に闘う。そこでは日米は「どう戦い」、「どう守る」のか-。

 陸上自衛隊ではマルチドメイン(領域横断)作戦の能力向上が、そして、米海兵隊では、機動展開前進基地作戦(EABO)構想に基づく、作戦実施要領の具体化及び能力向上が喫緊の課題となる。

 さらに、日本の長距離打撃能力の保持は対中抑止力、特に南西の島嶼部の守りを強化する。つまり、ミサイルや火砲に十分な射程があれば、部隊を本州に置き、そこから沖縄を含む南西諸島に侵攻してくる敵部隊を攻撃可能である。

 また、航空基地の脆弱性をカバーするため、航空機を分散化させ、基地の抗堪性を高め、移動式ミサイルの展開等を考慮せねばならない。その場合、米国はどこまで展開し、日本はどこまでやるのか。その能力は米国に完全に依存するのか、それとも日本が自らそうした運用が可能な態勢を持つのか等、考慮する必要がある。

 その第一列島線での重要な戦域は先島諸島にある。アンドリュー・クレピノビッチCSBA(戦略予算評価分析センター)創設者は「列島線防衛構想」で、米国が中国に対する軍事バランス上有利な状況を維持することが非常に重要であると指摘する。

かわかみ・たかし 1955年熊本生まれ。元拓殖大学教授。現在、中央大学法学部講師、一般社団法人日本外交政策学会理事長、石破内閣で外交安全保障担当内閣官房参与を兼務。大阪大学国際公共政策博士、ジョージタウン大学留学、米フレッチャースクル研究所研究員、ランド研究所客員研究員を経て、中曽根世界平和研究所研究員、海部俊樹元総理の政策秘書、防衛省防衛研究所主任研究員、北陸大学教授から拓殖大学海外事情研究所所長を経て現職。その間、外務省の国際問題研究所客員研究員、神奈川県庁参与、参議院外交防衛委員会客員調査員、TBS News Bird特別キャスターを兼務。

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