#3 「沖縄島は自由主義陣営の重要な一角」西原 正 (平和・安全保障研究所副会長)

「沖縄島は自由主義陣営の重要な一角」 西原 正 (平和・安全保障研究所副会長)
沖縄の人たちの中には、沖縄県は日本にとって比較的小さな島嶼群で、国際政治上もそれほど重要ではないと論じる人がいるかもしれない。しかし太平洋戦争における米軍の日本侵攻が沖縄から始まったこと、またベトナム戦争においても米軍は沖縄の基地を主要作戦拠点にしたことを考えると、太平洋地域における沖縄の重要度を軽視することはできないと思う。言うまでもなく、沖縄は、戦後の日米関係において核配備の対象とさえなったのである。
現在日本は国際関係においてきわめて重要な役割を担いつつある。日本は西側の有力7か国で結成しているG7の中の唯一のアジアのメンバーであること、北大西洋同盟(NATO28か国)、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)戦略参加国13か国、IPEF(インド太平洋経済枠組み)14か国などの機構と密接な関係にあることで、アジアの関係国のリーダーとしての日本に対する期待は大きい。とくに日本は韓国、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドなどと準同盟国関係にある。これらの国は中国の動きを注視し、けん制する。ただフィリピンは例外で、中国を注視するだけでなく、南シナ海の南沙諸島の領有権をめぐって係争中である。日本はこのような組織を強化して自由な太平洋社会を築こうとしている。
最近の新聞(7月18日読売新聞朝刊)は、日本政府が中国軍は必要の場合、台湾島を海上封鎖し一週間以内に台湾島に兵力を上陸させることが可能だと見ていると報じた。また台湾の隣に位置する与那国島は台湾への中国の侵攻にどう対抗しようとしているかを探ることができる。さらに同日の産経新聞朝刊は、北大東島の村長が移動式警戒管制空自レーダーを配備することに村民の同意を得ることが出来たと報じた。このように沖縄県の空気が次第に緊張するのを感じることができる。
このように現在の中台対立において、台湾に近い与那国島の貢献は決して小さくはない。与那国島から日本は米国および他の友好国と見解を共有し西側の立場を強くすることができる。沖縄は本土とともに、ますます国際政治や安全保障上の影響を受けるだけでなく、逆に影響を与える立場になっているというべきではないだろうか。沖縄は自由主義陣営の重要な一角になりつつある。(終わり)
にしはら・まさし 1937年生まれ。大阪府出身。1962年京都大学法学部卒業。1964年米国ミシガン大学大学院政治学科に留学、1972年12月政治学PhD取得。2000年防衛大学校長、2006年退職。2006年4月一般財団法人平和・安全保障研究所理事長、2021年6月同研究所副会長。2008年瑞宝重光章。2013年産経新聞正論大賞。



