夕方のパイナガマビーチ駐車場

井上美香のあんちいーやー⑤ゴミ箱設置するべき? しないべき?

 ゴールデンウィークが終わると残念なニュースが上がってくる。公園にバーベキューで楽しんだ後の残骸が持ち帰られずそのまま放棄されるという記事。
 『来たときよりも美しく』はその場所を使わせてもらった恩義ではないだろうか?

 ポイ捨てがなくならないのは、ゴミ箱がないからだという意見もある。ポイ捨てせず思わず捨てたくなるゴミ箱があれば、ポイ捨てを見つけてもそれを捨てたくなるゴミ箱があったとしたら?
 本土ではスポーツメーカーと共同でゴミ箱がバスケットリンクになっていて、シュートすればゴミが箱に入っていく仕組みのものや、タバコのポイ捨て防止で、喫煙者が興味を持つテーマで投票してゴミ箱がガラス張りになっていて投票結果が一目瞭然になっている吸い殻入れ(PREDGE参照)など、アイデア次第でゴミを捨てるという行動が遊びやワクワクするものに変わる。

 ポイ捨て禁止条例を作りパトロールして見つけたら罰則を科す自治体などもあるが、これもなんだが罰を与えなければ捨てなくならないのかと世知辛い世の中になりそう。お国変われば、香港の非政府組織(NGO)が街に落ちているゴミを集めて付着したDNAから落とし主のデジタル写真を復元し、ポスターにして掲示するという街のゴミを無くす斬新なアイデア。(WIRED.COM参照)すてる人は自分だけじゃない意識や特定されなければ?バレなければ?という意識があるのか?捨てたことがこんな形で有名になってしまったらお恥ずかしい限りだ。

 私はビーチクリーン開催の下見がてら、よく海岸線を通る機会が多いのだが、いつ通ってもキレイな場所がある。
 比嘉ロードパークの駐車場。そこの東屋にゴミ箱がある。
 そこには燃えるゴミ、ペットボトルとビン、カンと分別マークが記されたゴミ箱が設置されていて、ゴミであふれていないし、清掃も行き届いている。問い合わせたところ、県の土木課の管轄で、みやこ学園に委託しているとのこと。みやこ学園は障害を持つ方の就労訓練の一環として月曜、木曜の週に2回清掃活動を担当して18年にもなる。分別マークが記されていないときは、缶詰や瓶など明らかに家庭ごみだとわかるものが捨ててあった。どうにかならないものかと今も試行錯誤のようだ。

比嘉ロードパークのゴミ箱

 みやこ学園のサービス管理責任者の瀬名波正敏さん曰く、メンバーの皆さんにこの場所を綺麗にするという使命感を持って取り組んでいる。日頃は室内で作業をしている身体の不自由な方も週に2回屋外に出られるお仕事はリフレッシュにもなり、自分たちができることにそれぞれ取り組んでいる。そんな方たちの使命感がいつ訪れても気持ちのいい場所を作っていたのだ。
 公共の場所を利用するとき、自分が所有している場所ではないという気持ちがあるのか?我が家の庭にはポイ捨てはしないでしょ?『ハートが大事』と瀬名波さん。

 書物ではこの宮古島に人間が住みだしたのが約2万7千年前。先人たちは自然を愛し、祈る文化を脈々と受け継いできた。誰かが見ていなくても、罰を与えられなくても、住まわせていただいているこの島に感謝し、美化するのは先祖を大切にすることと同じではないだろうか。
 不法投棄もポイ捨てもこの島からなくなりました!という日がきたらゴミ箱が設置されるようになるかもしれない。住みやすい島をデザインしていくのは住んでる人なのだ。
 約5万5千人の中のわずかな捨てている人の意識が変われば島に訪れる人の意識も変わり世界も変わる。
 美しい宮古ブルーに負けない「ゴミ一つ落ちていないクリーンな島」
 そんな希望を胸にこの島で陸も海もゴミを拾い続ける。

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