ボランティアゴミ袋の文字が分かるようにまとめられた漂着ごみ

井上美香のあんちいーやー④工事現場とビーチクリーンの共通点

 移住して9年。
 宮古島は空き地や畑だったところに建物がたくさん建ち、昔ここには何があったか忘れてしまうほど。この島に生まれ育った人ならなおさら感じるだろう。

 そんな中通勤途中空き地から3階建てのビルが建った。その工程を通勤の往復ずっと見てきたのだが、あっと言う間の完成だった。その建設中だった時の現場はいつ通ってもとても気持ちのいい場所だった。資材や足場、廃棄物もキレイに隅に分別されていて、職人さんが帰った後もすっきりものが片付いていてゴミ1つ落ちていない。そこで働いている人々も志高くフットワークも軽い。自分の仕事に責任を持った「ザ・職人」プロ集団の塊。思わず現場の作業に見とれるほどだった。
 たまに「ここはいつになったら完成するのか 」と、工事が滞っているような現場も見かけていただけに、整理整頓され片付いている現場は工期も早いのかなと感じた。

クリーンセンターに自己搬入していたころ

 私がライフワークで5年続いているビーチクリーン。ボランティアのビーチクリーンで集めたゴミは自己搬入、何台ものボランティアの方の軽トラや自家用車に多い時では1㌧もの漂着ゴミを積んで搬入していた。漁港に隣接している海岸は宮古島市の水産課が2㌧トラックで回収にきてくれることもあった。毎月この搬入に苦労していたことを知って宮古環境保全センターの方がボランティアでパッカー車を出して回収してくれていたのだ。

 忘れもしない2019年年6月25日、環境衛生課がゴミを回収にきてくれた。その時はボランティアのの皆で拍手して喜んだ。一緒に積み上げ作業も残っている人々でお手伝いする。

 私がビーチクリーンを主催していて気をつけていることがある。ボランティアの方々が集められたボランティアゴミ袋を1カ所にまとめるのだが、ボランティアゴミ袋という文字が正面にくるように綺麗に並べている。ペットボトル、空き缶、ビン、漁具など一目瞭然に美しく配列する。それは、回収にきてくれるまでの間、この漂着ゴミたちに紛れてポイ捨てや、不法投棄をしないでほしいという願いと、回収にきてくれている環境衛生課の方への配慮だ。
 パッカー車やトラックで回収にきた時、集められた漂着ゴミを積みこみしやすい位置も皆で考えている。自分たちで搬入していた時の苦労がわかるからこそ回収してくれる人の気持ちに寄り添える。

 工事現場はどうしてもゴミが出るところだが、美化に勤めている人がいればその場所を通過しても気持ち良い場所になる。漂着ゴミを拾った袋の山も整理整頓されているのをみれば、ボランティアの努力が伺い知れる。そんな場所への敬意を払える島の人間でありたい。

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