産廃場に搬入された発泡スチロールの山

井上美香のあんちいーやー⑱師走の大掃除大作戦

一般家庭ゴミと事業ゴミの違い

 師走に入りおうちの整理や大掃除に取り掛かるときに出てくるのが粗大ゴミ。コロナ禍の2020年4月25日から、クリーンセンターへの一般家庭ごみの自己搬入ができなくなった。施設への立ち入る人数を抑制し感染拡大リスクを抑えるためだ。コロナ禍前は年末に差し掛かると、クリーンセンターの計量の入口は長蛇の列で年内にゴミを家から一掃し新たな新年を迎えようとする市民で混み合っていた。

 自己搬入の受入れを止めたのはリサイクル棟、焼却棟の作業員がコロナにかかり、この施設が止まってしまうと業務がストップしてゴミの行き場を失うことになるという理由からだった。このほかにも自己搬入の車両は委託業者の収集車から見ると予測不可能な動きをするのでひやっとするときもあったようだ。業者の方達から見れば一般車両が頻繁に入らなくなったことに肩を撫で下ろしている。

不法投棄された一斗缶たち

 私がビーチクリーンをしているせいだろうか?

『どうしてコロナが落ち着きつつあるのに自己搬入ができないの?」という問い合わせ。最近、友人が家の整理でゴミが出たので自己搬入の問い合わせをしたところ、クリーンセンターは、引越の時や多量の粗大ごみ、また、誰かが亡くなった際の遺品の整理の時以外は自己搬入を受け入れない。
 その理由はクリーンセンターは工場なので万が一市民が搬入の際に事故などが起きたとき、警察を呼び事情聴取をしたりして業務がストップしてしまう危険性があるので市民の自己搬入は今後は受け付けないという宮古島市衛生施設課の方針だ。
 出す方法はそもそも粗大ゴミ処理券(大200円、小100円)をコンビニエンスストアかスーパーで購入し出すゴミに貼り、地域ごとに指定された日に家の前、自治会で指定されている場所に出す。一度に出す粗大ゴミは3つまでというのが宮古島市のルールはみなさんもご承知だろう。

 一方事業系のゴミに関しては、排出事業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、廃棄物処理法に基づいて県知事の許可を受けた収集運搬業者および処分業者とそれぞれ書面で契約を結ばなければならない。宮古島市クリーンセンターでは以前は事業者から出た廃プラスチック廃蛍光灯、発泡スチロールは受け入れていた。
 事業所からルールが変わったのか?や、今まで引き取っていたものがなぜ引き取らなくなったのか?など収集業者へ疑問の声が寄せられていたそうだ。

 この理解の不一致はどこからきているのだろう?

 一般の自己搬入ができていたコロナ禍前は一日約120台も搬入があり、計量の部分で事業所のゴミの車が見分けがつかず、一般の自己搬入と同様に捨てられていたようだ。
 収集業者は一般廃棄物を運搬する許可から産業廃棄物も運搬できるように許可申請している業者もある。一手に最終処分を請け負う業者は発泡スチロールは体積があり、埋め立てなので大量に搬入に来て戸惑っている。事業所もゴミを減らす企業努力が必要ではないだろうかと中間処理業の方の声も上がった。
 管轄する保健所からは、事業活動によって生じた廃棄物は排出事業者に処理責任があり、処分料も経費の一部と考え、許可業者に委託を行う等、適正に処分しなければならないと回答。
 積み替え保管ができる産廃業者に伺ったところ、廃蛍光灯は事業所が、船会社、陸送会社、処分業者と契約を結び、その書類がなければ、島内の産廃業者は引き取るとこができない、例えば5本処理をするとすると4、5万はかかってしまう。その旨をお伝えして、積み換え保管の契約を結んでいる事業所はまだいないそうだ。

ビーチクリーンで集められた蛍光灯や電球

 島内の産廃業者が蛍光灯のガラスと水銀を分ける機械の導入を考えていたが離島の人口では採算が合わなそうだ。
 では事業所から出る廃蛍光灯はどこにいっているのだろう?事業所ではある程度本数が貯まるまで保管しているのだろうか?推測だが数本であれば社員が持ち帰り、家庭のゴミとして出していないだろうか?もしも保健所の立ち入り調査が入れば、その事業所は違反になる。なんだか離島の現実がもどかしい。

 取材する前、私の個人的素人の主観では、新たなクリーンセンターが立つ前の焼却炉から比べるとあんな素晴らしい施設ができたのに市民の自己搬入や、事業系の産廃が同時に受け入れられないのはなぜだろうと感じていた。特にどうにもならない蛍光灯や発泡スチロールに関しては法律上というのもわかるが離島の特例措置はないものか?ゴミ減量や合理的なゴミ収集の観点から今までできていたものができなくなれば人は不自由を感じる。

 いろいろな方の声を伺ううちに分かったことも多い。一般家庭廃棄物は週に3回も燃えるゴミの回収があり家の前に出せば回収にきてくれる。ホテルなどが筍のように建ちクルーズ船が寄港していて観光客100万人突破という時は明らかにゴミは増えていた。

 コロナ禍もありSDGsやごみ減量という観点から見ると大きな舵取りをして、当たり前だった考えをシフトチェンジするときが今なのだろう。ペットボトルのラベルを剥がし、キャップは取って捨てるが今は宮古のスタンダードになったように、自己搬入で捨てられていた一般廃棄物や、粗大ゴミなどがシールを貼って出すのが当たり前になり、不法投棄もなくなり、美しい島が当たり前になるようにというのが理想ではないだろうか。

 ゴミを捨てる私たちも買い物をする時点から本当に必要なものなのか?衝動やストレス解消で消費していないか?壊れた物だとしたら修理して使えないか?3Rの実践や、フリーマーケットへの出店、市のリサイクルプラザ棟の活用など、ゴミを減らし、ゴミを出さないような生活にする努力と知恵はいくらでもある。行政、企業、市民どこかに皺寄せがくる社会でなく、3方良しの島になれるように人任せでない自分ごととして捉える必要がある。

 今あなたが処分しようと思っているものが本当にゴミなのか?誰かの役に立つかもしれない、違う形に生まれ変われるかもしれない。ゴミを回収に来てくれるエッセンシャルワーカーの気持ちになっているだろうか?命に寿命があるように物に寿命があるとすればその命は全うしただろうか?

 大量生産、大量消費、大量廃棄のループから脱却し、市民は今一度吟味してどうしても処分する粗大ごみがあるのであれば週一回3個までを念頭に置き、計画的に回収に来てもらおう。事業所もゴミを減らすにはどうしたら良いかを社内で話し会ってみよう。

 来年もこのコラムを読んでくださる皆さんがあんちぃ〜や(そうだよね!)と共感していただけるような話題をお届けしたい。

ごみ拾いを行う美香隊長

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