産廃場に搬入された発泡スチロールの山

井上美香のあんちいーやー⑲怪我をして感じたSDGs

 2月初旬不注意で脚立からおちてしまい、右膝の骨にヒビが入ってしまった。骨を負傷するのは生まれて初めてのアクシデント。いつも時間が早く進んでいるかのようにいつもせっかちで慌てて行動している私にとって松葉杖生活は全てがスローな動きになったが患部が痛い以外は骨折り損ならぬ骨折り徳だった。

 まず人の優しさに触れられたこと。
 引扉のドアを開けて待ってくれる人、買い物途中物を落として拾ってくれる人、私の代わりに高いところから物を取ってくれる人、膝を気遣い優しい言葉をかけてくれる人などなんて世の中は優しいのだろうと思う日々。

 身体が不自由になって見た宮古島。
 ある機関に書類をとりに行った時、その建物前は満車。身障者用の駐車スペースだけは空いていた。だが私の車にはなんのサインもない。車椅子の方が最優先の区画なのだから誘導員の方は私が満車なのにどうして入ろうとするかわからない。
 私はとっさに今の相棒松葉杖を見せると納得した表情で通してくれた。『身障者用のマークが貼られていないのでわからないね、何かサインはないのかね?』と伝えてくれた。その通りだ。
 しばらくして市役所に行った時、たまたま国民健康保険課で怪我した時の車に乗る際、目印になるようなものはないかを聞いてみた。

 沖縄県には「ちゅらパーキング(障害者等用駐車区画)」という利用証制度があることを親切に教えてくれた。この制度は、公共施設や商業施設等に設置されている障害者等用駐車区画(「車いすマーク」のある駐車区画)の利用対象者を障害者、高齢者、妊産婦などのうち、歩行が困難な方や移動の際に配慮が必要なか方に限定し、対象者には共通の「利用証」を交付することで、同駐車区画の適正利用を図る制度で、全国的には、「パーキングパーミット制度」と呼ばれている。

 こんな制度があるなんて知らなかった。

 宮古島市での申請は身障者は障害福祉課、高齢者は高齢者支援課、妊産婦、一時的な怪我をした人は健康増進課で交付を受けることができる。ちなみに宮古島市の妊産婦の申請は10件程度、一時的な怪我の方の申請は0件という。
 赤色の車いす使用者優先区画は1、身障手帳、要介護3、4、5、その他車いすの常時使用が必要な方(医師の診断書などが必要)が利用する場所だ。
 緑色は車いす使用者以外の方で障害者、難病患者、高齢者など要介護認定を受けている方
 オレンジ色は一時的に配慮が必要な妊産婦の方、一時的な怪我をしている方となっている。
 緑色とオレンジ色の方はプラスワン区画、幅の広い区画は必要ないものの、歩行が困難、移動の際に配慮が必要な方が優先的に利用できる駐車区画のことを言う。

 沖縄県ではこの制度の協力施設を募集している。先行的にこのプラスワン区画が設けられているようだが、民間の協力はうむやすみゃあす・ん診療所の1件のみとまだ少ない。駐車スペースの台数が限られている事や新たなサイン設置などで時間を有するのであろう。
 施設や事業所がこのプラスワン区画を導入することで、区画を必要とする方が利用しやすくなり、周りの人の視線が気になって区画を控えている内部障害者の方や妊産婦の方が気兼ねなく駐車できる環境を整備されることで施設利用の満足度の向上に繋がる目的がある。
 車に関する配慮が必要な方が生活しやすい環境を整備することで誰もが、安心して、いつでも駐車ができる社会にするためには施設や店舗の賛同も必要不可欠だ。
 沖縄県には車椅子の区画が641施設、プラスワン区画は448施設あるとのこと。
 普段駐車スペースがないからといって車いすの駐車スペースに安易に駐車することや視覚障害の方の歩行に必要な重要な情報の点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)の上に駐車することも言語道断。このコラムを読んで下さっているそこのあなた、身の周りに助けを必要としている人はいないか?ちょっとした気配り思いやりが、困っている方が笑顔になるのだ。
 自ら不自由になり松葉杖は少しの段差でも不便で引っかかって躓きそうな時もあった。レジや手続きで立ちっぱなしの待ち時間もいつもの倍の時間に感じた。障害があるなしに関わらず、身の回りの人に目を向け心を寄り添うことで誰もが暮らしやすい島作り、社会が描いていけると身を持って感じた日々だった。

 SDGsに関連してコラムをお届けしてきましたが、SDGsとは人類がこの地球で暮らしていくために2030年までに達成すべき目標だ。人にも自然にも環境にも優しい社会を築いていくには他人事でなく自分事として社会を捉え皆で知恵を出し合うことが必要だと感じた。

 そして今までご愛読いただきありがとうございました。
今までのコラムで少しでもあんちぃ〜や(そうだよね〜)と感じていただけたら幸いです。
 これからも宮古島市民としての感覚で様々な視点から物事を捉えていきたいと思います。
 またいつかどこかで

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