狩俣のラストダンス、岸本の集大成 沖縄が誇る2人の頂上決戦
【記事提供・沖縄バスケットボール情報誌OUTNUMBER(アウトナンバー)】
2026年5月23日、横浜アリーナで行われるBリーグチャンピオンシップファイナル。頂上決戦に勝ち上がったのは、長崎ヴェルカと琉球ゴールデンキングス。
長崎には今季限りでの引退を表明している狩俣昌也、琉球には“ミスターキングス”岸本隆一。同じシーズン(2012-2013)にプロキャリアをスタートさせた2人が、Bリーグ最高峰の舞台で激突する。プロの世界で同じユニフォームを着たのは、わずか1シーズン(2013-2014)だけ。その特別な物語を振り返りたい。

長崎ヴェルカの狩俣は1988年4月28日生まれ、沖縄県宮古島市出身。興南高校、国際武道大学を経て、2012-13シーズンに千葉ジェッツへ加入し、プロキャリアをスタートさせた。
1シーズンで千葉を離れると、13-14シーズンに地元クラブの琉球ゴールデンキングスへ加入。途中出場を中心に、激しいディフェンスと高確率の3ポイントシュートでチームを支えた。
その狩俣が試合開始時に見つめていた先にいたのが、スターティング5に名を連ねていた岸本だった。

岸本は1990年5月17日生まれ、沖縄県名護市出身。北中城高校、大東文化大学を経て、アーリーエントリーとして12-13シーズンに琉球へ加入。翌13-14シーズンには先発として定着し、武器の3ポイントシュートを生かして新人賞も受賞した。
狩俣、岸本に加え、アンソニー・マクヘンリー、ジェフ・ニュートン、金城茂之、並里成らを擁した琉球は、レギュラーシーズン43勝9敗。当時のリーグ最多勝利数を更新する圧倒的な強さを見せた。
プレーオフでも勢いは止まらず、ファイナルでは秋田ノーザンハピネッツを103―89で下し、2シーズンぶり3度目の優勝を達成。岸本は34得点を挙げ、プレーオフMVPに輝いた。
一方で、狩俣にファイナルでの出場機会はなかった。この優勝を最後に、2人は別々の道を歩むことになる。
狩俣は琉球退団後、14-15シーズンから新規参入した福島ファイヤーボンズへ加入。先発として存在感を示し、1試合平均15・1得点、4・4アシストを記録した。シーズンを通じて大きく成長し、最も飛躍した選手に贈られるMIP賞も受賞。福島での活躍によって、その実力はリーグ全体から高く評価されるようになった。
そして新たに始まったBリーグでは、名門シーホース三河へ加入。日本代表クラスの選手が集うクラブでも経験を積み、その後は滋賀レイクスでもプレーした。
そして21-22シーズン、創設初年度の長崎ヴェルカへ加入した。
B3からスタートした新クラブで、狩俣はキャプテンに就任。加入初年度でB3優勝とB2昇格を成し遂げ、自身もベスト5に選出された。翌22-23シーズンにはB2ベスト3P成功率賞を獲得し、チームのB1昇格にも大きく貢献した。
そして今季、狩俣は現役引退を表明。クラブ初のB1制覇を懸けた戦いは、まさに“ラストダンス”となる。
一方の岸本は、その後も一貫して琉球一筋のキャリアを歩んできた。15-16シーズンまでの4シーズンはキャプテンとしてチームをけん引。キャプテンを離れた後も、2020年には指定難病の潰瘍性大腸炎を公表しながら、コートに立ち続けた。
チームもBリーグ屈指の強豪へと成長。9大会連続チャンピオンシップ出場、さらに5季連続でCSファイナルへ進出している。その中心に立ち続けてきた岸本は、“ミスターキングス”としてクラブの象徴的存在となった。
昨季はレギュラーシーズンの長崎戦で負傷し、後に骨折と判明。手術を受け、チャンピオンシップ出場はかなわなかった。それでも再び大舞台へ戻ってきた。
かつて同じチームで優勝を経験した2人が、今度はそれぞれのクラブを背負い、Bリーグ最高峰の舞台で相まみえる。狩俣にとっては現役最後の戦い。岸本にとっては、“キングスの象徴”として積み重ねてきたキャリアの集大成でもある。
宮古島市出身の狩俣と、名護市出身の岸本。沖縄バスケットボール界を長年けん引してきた2人が、最後の大舞台で向かい合う。
沖縄バスケットボール史に残る二人の偉大なポイントガードの物語が交差するBリーグファイナルは、沖縄県民にとって見逃せない一戦となる。


