徳地秀士「米国のベネズエラ攻撃に思う」

米国のベネズエラ攻撃に思う 徳地秀士
 新年早々米国は、南米のベネズエラに大規模攻撃を行った。拘束された同国のマドゥロ大統領はニューヨークに移送され、麻薬密輸組織への支援などの罪で裁判にかけられている。
 トランプ政権は麻薬対策を重要政策の一つに掲げ、昨年の秋以降、ベネズエラ船舶をしばしば「麻薬密輸船」であるとして攻撃していた。これについても批判や疑問はあったが、今回のベネズエラ攻撃とそれに続く司法措置などは更に多くの批判を招いている。
 トランプ政権の国家安全保障戦略には、米国は西半球(南北アメリカ大陸)における米国の優越した地位を回復するためモンロー主義(欧米両大陸の相互不干渉を主張したかつての米国の外交政策)を実行すると書いてある。また、トランプ政権は、麻薬の流入を米国にとっての安全保障上の脅威と位置付けており、合成麻薬は大量破壊兵器に認定されてさえいる。
 しかし、それだけで武力行使を含め今回の措置全体を正当化することは困難である。これは、ウクライナ侵攻を続けるロシアにも、台湾や東南アジア諸国を威嚇する中国にも悪い手本を示している。北朝鮮はますます核を手放さないだろう。米国を非難するのは簡単だが、これまで米国とともに「ルールに基づく国際秩序」を支えてきた日本を含む同盟国にとっては甚だ困った事態である。
 日本はどうすべきか。
 まず、国際社会の実態を認識して国力を強化することが必要である。国際秩序はルールだけでつくられるものではない。力によって支えられていることも事実である。法規範を振りかざすだけでは秩序はできない。他国に法の遵守を求めるためにも国力の強化は必要である。日本は、ハードパワーを強め国際秩序の回復により大きな貢献をする必要がある。
 また、当然のことだが、日本はトランプ政権のまねをしてはならない。規範を誠実に遵守するという姿勢を堅持して国際的な信頼を高め、ソフトパワーを強化することが今こそ必要である。
 米国に対しては、釘をさしておくべきである。同盟国として米国を見放す訳にはいかないからである。ただし、誰にどう言うかは別問題である。米国は大国だから、他国に説教されることは好まない。いずれ効き目が出てくるような伝え方が重要である。
 いずれにしても、これで中国やロシアの行動が許されることにはならない。間違っても中・露の方に靡いていってはならない。どちらの側に付くのがましなのか、比較すれば答えは明らかだろう。

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