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上映会後のトークで(左から)内田氏、仲間氏、春日氏 =市未来創造センター多目的ホール

映像は貴重な生活誌・史 宮古上布の継承に活用も 「ブーンミの島」の上映後に 春日監督らがトーク

 人間文化研究機構国立歴史民俗博物館のドキュメンタリー映画「ブーンミの島~沖縄県宮古諸島の苧麻文化~」上映会が16日、前日に続き市未来創造センター多目的ホールで行われた。上映後は監督の春日聡氏(国立歴史民俗博物館客員准教授)、内田順子氏(同教授)、仲間伸恵氏(琉球大学准教授)のトークもあった。宮古上布の原材料となる苧麻糸手績み文化を記録した映像には苧麻生産に携わる人々が登場し、語ったのは他に見当たらず、宮古の生活誌・生活史として貴重。宮古上布の生産量や担い手が減るなかで保存継承していくための方法に活用していくことも強調された。
 上映は2日間で4回あり、多くの人が訪れた。主催者の内田さんは、トークについて「宮古島の自然や歴史、苧麻をめぐる人々の営みをより深く知っていただく機会になる」と話した。
 春日さんは「ブーンミの島」の概要や製作に至った経緯、宮古上布の歴史と現在、調査・撮影日程などを話した。映像については、大きく分けて「宮古諸島における苧麻糸づくりの生産工程(栽培から糸づくりの終わりまでと藍染)」と「苧麻糸づくりに携わる人々が想いや生きざまを語る」で構成していると説明した。
 上映を通じては「苧麻生産に携わりながらも、それぞれの人々は個々の人生を生きている。多くの人々が登場し、語った映像はほかには見当たらない。この点でも宮古の生活誌・生活史として貴重である」と強調した。
 また「人は知らないけど、私はこうやっているというシーンがある。映像を見ればあの人はあのようにやっている、私はこのようにやっているという話のきっかけになる」とも話した。さらに「宮古の文化もブーのことも知らなかった人たちが興味を持つきっかけになる」とも語った。
 仲間さんは「映像に出てくる人々の話は宝物のような言葉で、それに伴う音がとても印象深かった」と評価。宮古上布の生産や担い手が減っているなかで現実は厳しいものがあるとした上で、「映像の中のオバーたちはエネルギーがある。みなさんを見ていたら(今後も)大丈夫のような気がする」と語った。
 この先、将来に向けては「宮古上布の関係者以外の人たちに、どうやって興味を持ってもらうかが大きなテーマ。これまでの継承の仕方を変えないといけない時代になった。(以前は)本人がやっていなくても近くにあり、宮古上布を織るのを見て知っていたことが伝承につながった。映像に出てくるオバーらの生の声はインパクトがあり、伝承へのツールになる。これが活用できるのはありがたい」と話した。

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