社説 農業委員選考の正当性調査④

 調査特別委員会の審議により「市の規則上、農業委員候補者の『評価・選考』権限は、農業委員会が法規に準じて設置する評価委員会のみに属する」ことをすべての関係者が認識していたことが明確となった。
 農業行政への深い見識を看板とする座喜味市政にとって、熟知部門での失態は大打撃となる。だからこそ行政経験が豊富で法令順守義務を熟知する市幹部職員が関わった選任同意案が、なぜ市議会で「廃案」となる異例の事態を生んだのかに疑問が移る。
 その起点を探ると、議会上程が間近となるなかで、市長が緊急に要請した市上層部と農業委員会の面談にたどり着く。調査特別委員会で、この面談要請の理由を問われた座喜味市長は「農業委員会から届いた農業委員の選任報告と評価点数の結果を見て、何か『感情的な評価』があったのかなと感じて、選考過程の説明を求めた」とし、『感情的な評価』と感じた理由を「候補者間の評価点数の差に大きな開きがあったので、評価委員会の審査方法を確認する必要を感じた」と答えた。
 市長要請で行われた市上層部と農業委員会の面談理由を、市は「農業委員選考過程の説明と、議会上程に向けた協議」と説明。この面談が農業委員の選考に大きく影響を及ぼしたことは誰の目にも明らかだが、協議の議事録提出の要求に対し、市は「候補者選任の流れや評価委員会の審査方法の確認が主だったため、議事録は作成していない」とした。一方の農業委員会は、この面談で選考の正当性がゆがめられる可能性を感じて、面談内容を備忘録として残していた。
 農業委員会は調査特別委員会に備忘録を提出し「面談は市上層部が候補者の変更を指示するために開かれたもので、席上で強い圧力を感じた」と訴えた。この訴えに市上層部は「圧力は個人の感じ方次第であり、あくまでも対等な立場で対応した」と声をそろえた。圧力の有無について、本稿ではこれ以上触れないが、今後、録音記録等の解明による判断が待たれる。(続)

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