多良間村の避難実施要領を説明する来間課長(右から2人目)と市の川満調整官(同3人目) =県庁

初の図上訓練を実施 海外からの武力攻撃想定

 【那覇支局】県は17日、海外からの武力攻撃を想定し先島諸島の住民を県外避難させる方法や手段を確認する図上訓練を宮古島市や多良間村などの先島自治体、国や各関係機関らと県庁で実施した。県内で武力攻撃を想定した国民保護計画の図上訓練が行われるのは初めてとなる。宮古島市住民約5万6千人の島外避難については飛行機やフェリーを利用し、鹿児島空港、鹿児島港に移動、九州に6日程度で避難する方針が示された。多良間村の住民約1千人は宮古島に1日で移動して九州へ避難する。
 市の避難実施要領(案)によると、国が確保した航空機等の運行計画に合わせ、島外輸送機関と調整し、大型バス24~31台を用いて宮古空港(1日あたり6434人)、下地島空港(1日あたり3570人)への避難者を輸送する。大神島民については船舶により宮古島まで輸送する。6日程度で全住民が島外避難できると想定している。観光客などの一時滞在者も、宿泊施設の協力を得て、市職員や警察などが確認作業を行う。また、情報の発信に対しては県と連携した広報体制を構築する。
 訓練に参加した市防災危機管理課の川満秀誉調整官は「各々の機関で必要だと認識していても一市町村でできないことがあったと思う。一堂に会して国、県との役割の認識共有ができたのでこれからの発展に期待したい」と話した。
 村の避難実施要領(案)によると、県などと調整し確保した船舶や航空機の運航ダイヤに基づき、島外(宮古島)へ避難。宮古島での避難場所はマティダ劇場を想定。波浪などで船舶が入港できない場合は、航空機の臨時運航の最大化を図る。運航ダイヤに合わせ一時集合場所(多良間小学校)から空港や港に向かう。村営バス、公用バス各1台と市からのバス5台を利用する。一時集合場所へは原則徒歩で移動する。残留者の確認は役場職員と警察などが実施。情報の発信は地域防災計画に準じる。
 訓練に参加した村総務財政課の来間玄次課長は「島内移動のバス不足や一時待機場所の確保など多良間村単独で島外避難が難しいことが今回の訓練を通して改めて認識できた。宮古島市と連携し島民が安全安心に避難できるように取り組んでいきたい。今回出た課題を次につなげ、積み重ねることで次の方向性が見えてくる」と話した。

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