マイクログリッド事業が行われている来間島

島内発電で全電力供給 来間島MG訓練成功

 市下地の来間島で地域マイクログリッド(MG)構築事業を進める沖縄電力(浦添市、本永浩之社長)など3社と宮古島市の共同事業体はこのほど、非常時を想定して対象区域内にある全96世帯の電力を宮古島からの送電網から切り離し、島内の発電設備だけで対象エリアの電力を100%供給する訓練に成功した。同事業体は、島内で発電する再生可能エネルギーの地産地消が可能と確認されたとしている。

設置されているMG設備


 訓練は5月25日に行われた。対象エリア全体の電力需給調整を行うMG蓄電池、各家庭などに設置された太陽光発電と蓄電池だけで電力を供給したといい、対象エリア内の太陽光発電が需要を上回る場合にMG蓄電池を充電し、下回る場合にはMG蓄電池から放電するなどの運用を確認した。
 事業は2020年11月から施設整備が始まり、既存の太陽光発電380㌔㍗に加え242㌔㍗分の太陽光発電、蓄電池325㌔㍗、MG蓄電池800㌔㍗などを設置し、22年1月25日に運用を開始した。地域の再生可能エネルギーを一定規模のエリアで利用し、災害時などには自律的に対象エリアへ電気を供給するもの。
 来間島は宮古島系統線で送配電しているが、今回のシステムでは平常時も地域のほぼ全て(島内需要電力50~200㌔㍗)を賄えるため、系統をほぼゼロにすることが可能となる。
 来間島は宮古島の電力系統の末端にあり、台風停電時の復旧が他地域よりも遅い傾向にあったが、MG実用化で災害時の早期復旧が期待されている。
 同事業体は「本事業を通してMG技術を蓄積し、再生可能エネルギーの地産地消に加えて非常時の停電時間短縮などに取り組み、持続可能な社会の実現に貢献する」とコメントした。

関連記事一覧