2年5カ月ぶりとなるクルーズ船寄港で平良港専用岸壁に接岸する「ぱしふぃっくびいなす」 =午前9時ごろ平良港漲水ふ頭から撮影

平良港にクルーズ船が寄港

 平良港クルーズ船専用岸壁に29日早朝、日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす」(2万6594㌧)が接岸し、国際クルーズ拠点が供用開始した。県内のクルーズ船受け入れは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて2020年から中止が続いており、平良港へは2年5カ月ぶり、県内では最初の寄港再開となった。政府の入国制限緩和で国内の観光地には外国人観光客が訪れるようになっているが、外国クルーズ船の再開見通しは立っておらず、平良港への年内寄港があるかは依然として不透明だ。

クルーズ船寄港で下船する乗客を出迎える宮古島観光協会職員とミス宮古島ら=平良港専用岸壁


 平良港北防波堤沖側にクルーズ船専用岸壁を築造する国際クルーズ拠点整備は、19年度までに暫定供用部分の岸壁370㍍(水深10㍍)、22年3月までに延伸50㍍の全長420㍍の整備が完了し、22万㌧級のクルーズ船が接岸可能となった。国直轄事業として沖縄総合事務局平良港湾事務所が所管した。総事業費は149億円。宮古島市に管理が移管されている。
 関連事業で宮古島市が平良荷川取に旅客受入施設(CIQ=税関、出入国管理、検疫の略)及び観光案内所、バス・タクシー専用駐車場、シャトルバス乗降スペースなどを20年度までに整備した。事業費は11億7020万円。CIQ施設の本格的な使用は、外国クルーズ船寄港時となる。
 29日午前7時30分、「ぱしふぃっくびいなす」が平良港に入港し、専用岸壁に接岸した。同社によると乗客数は178人。同船は全長183㍍、幅25㍍。客室数は238室。今回は神戸港発着の「南西諸島 島めぐりクルーズ~宮古島・沖縄・奄美・屋久島」のコースで6月26日~7月3日(7泊8日)の途中で平良港に寄港した。
 同日は関係者が横断幕を掲げ、ミス宮古島が笑顔で乗客を出迎えた。乗客は乗船中のPCR検査、寄港前の抗原検査で陰性を確認した上で感染対策を徹底して下船。旅客受入施設内で体温チェックしたあとバスやタクシーなどで島内観光を楽しんだ。同船は午後6時に出港。30日は沖縄本島の本部港に寄港予定。
 クルーズ拠点整備がはじまった当時、平良港湾事務所工務課長を務め、ことし4月に着任した照屋雅彦所長は、専用岸壁で初めてとなる寄港に「22万㌧級として3月に完成した岸壁に第1船が入り、感無量」と感想を述べた上で、「(本格的な)クルーズ船再開、さらには宮古の観光、経済が回復するきっかけになれば」と今後に期待した。
 同岸壁を訪れた宮古島商工会議所の根路銘康文副会頭は、クルーズ船寄港を歓迎するとともに、厳しい経済状況を踏まえて「コロナ禍で飲食業を中心にダメージを受けており、クルーズ再開でうまく受け入れできるようにすることが大事」と語った。

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