動議を巡り調整を行う議員ら =市議会本会議室

宮古島市議会、流通不利性解消に向けた動議まとまらず

 宮古島市議会(上地廣敏議長)で21日、野党2会派と中立の計3会派が農水産物の島内・県外輸送を補助する「流通不利性解消事業」の制度変更を受けて、市に独自の航空輸送補助などを求める動機を提出。与党と自民会派は農林水産業へ支援が必要という趣旨には賛同したものの、全会一致で議決したいとして、文言の調整と動議の延期を求めた。3会派は微修正した決議案を提出したが納得を得られず、動議は10対13の賛成少数で否決された。
 同事業は今年度から制度設計が変更され、船舶輸送に対する補助単価上限は引き上げられた一方、航空輸送に対しては50~75円の大幅な引き下げとなっている。21年度に同事業で市に交付された補助金の約72%が航空輸送に対するもので、生産者などに大きな影響を及ぼすことが懸念されるとして、野党の保守宮古未来会・公明と中立の市民創会が決議案を提出。
 市に①農林水産業業への支援体制を早期に構築し具体的な支援を実施する②船舶輸送に移行するコールドチェーン体制が確立するまでは、市独自で航空輸送に対する補助を行う③コールドチェーン体制確立に向け関係者へのヒアリングや国や県との連携強化などを行う―ことを求めた。
 与党と自民会派は同事業の影響軽減のため一次産業への支援が必要であることには賛同したものの、文言に納得できない部分があるとして、全会一致での議決を目指し調整するため動議を22日に延期するよう求め退出した。
 3会派は②の「市独自の補助を実施すること」を「市独自の補助を含めて検討すること」と修正した案を提出したが、与党・自民の賛同を得られず、動議は賛成少数で否決された。与野党間での市当局に対するスタンスの違いや、事前に調整が無かったことへの感情的なしこりが障壁になったと見られる。
 保守未来会の山里雅彦代表は「補助金が推計8400万円減少するという報道もあり、市民の不安を早めに払拭したかった。私たちの思いに賛同してほしい」と述べた。与党会派の長崎富夫代表と自民会派の粟国恒広代表は「不利性解消事業の問題で第一次産業を支援するという趣旨には大賛成だが、細かな部分で文言の調整が必要と判断した」と声を揃えた。

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