侑澄くんが両耳に装着している人工内耳

先天性難聴の平良侑澄ちゃん「人口内耳」装着しリハビリ

 生まれつきほとんど耳が聞こえなかったという宮古島市在住の平良侑澄ちゃん(3歳)は、両耳に人工内耳を装着する手術を行い、琉球大学病院に通って聴覚・言語の発達のためのリハビリテーションに取り組んでいる。母の梨乃さんは「いちかばちかの決断だったが、ここまで聞こえるようになるとは想像していなかった」と話した。

 空気の振動を鼓膜・中耳骨が蝸牛(内耳)に伝え、蝸牛で振動が電気信号に変換され聴覚神経・脳へと伝わるのが人の聴覚の仕組み。補聴器は音の振動を増幅させて聴覚の補助をする器具のため、蝸牛に障害がある場合は効果を上げにくいとされている。
 人工内耳は耳の後ろに埋め込んだ装置で音を電気信号に変え、直接神経に届ける仕組み。音は耳に引っ掛ける外部装置で集める。世界で最も普及している人工臓器の一つで、日本でも年間千件以上の手術が行われており、特に7歳未満の小児の件数が伸びている。
 侑澄ちゃんは市の乳幼児健診で精密検査を勧められたことがきっかけで、先天性難聴であることが分かったという。梨乃さんによると、両耳とも「すぐ近くを飛行機が通って聞こえるか聞こえないか」という状態だった。検査を行った宮古病院に紹介され、手術は琉球大学病院で行った。
 梨乃さんは「しばらくは補聴器で様子を見たが、言葉が獲得できるほどの聞こえはなかったので手術を決断した。右耳だけだとあまり効果が無く心配したが、左耳にもつけるととても反応が良くなった。今ではもっと早くに人工内耳をつけてあげればよかったと思うほど」と話す。
 現在は琉大病院に通い、高音の聞き取りや言葉のトレーニングを行っているという。まだ上手く話せない様子だったが、初対面の記者の手を取りクレーンゲームのおもちゃをねだるなどとても人懐っこく、普通の子どもと何ら変わらないコミュニケーションを取ることができた。
 普段はけんかばかりで梨乃さんの手を焼かせているという兄の恵澄くん(6歳)も「侑澄はかわいくて大好き」と満面の笑顔。コロナ禍でなかなかリハビリに通えない時期もあったそうだが、侑澄ちゃんの健やかな成長を応援したい。

侑澄くん(手前)と(左から)恵澄くん、梨乃さん(同下)=4日、市内の大型スーパー

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