講師に任命状を交付する漢那会長(右) =市歴史文化資料館

技術者養成講習が開講 苧麻手積みの技、継承を

 宮古苧麻績み保存会(漢那明美会長)の2022年度苧麻(ちょま)手績み技術者養成講習の開講式が30日、市歴史文化資料館で行われた。宮古島市、多良間村の18教場で80人が受講する。宮古上布の材料となる苧麻糸手績みの技術継承に向け、初級は手績み5工程の基本を学び、今年度から中級は各工程をより専門的に習得する3コースとし、次代の指導者育成を目的に上級を新設した。ことしは国の選定保存技術保存団体の認定を受けてから20年目となる。

 初級講習の開講式で漢那会長は「国の重要無形文化財である宮古上布の制作には欠かせない苧麻糸手績みの技術は03年に国の選定保存技術に選定された。保存会は技術の伝承に取り組みことしで20年目になる。講習では苧麻糸手績みの5工程の基本的な技術を学ぶ。皆さんの上布を糸で支えたいという情熱に期待したい」とあいさつ。各教場の講師に苧麻紙の任命状を交付した。
 同講習は文化庁や県の補助を受け、苧麻糸手績み伝承者養成事業として実施している。初級講習は▽刈取・苧麻引(ブーび)き▽苧麻裂き▽糸績(いとう)み▽撚りかけ▽かしかけ│の5工程の研修を受ける。教場は平良11カ所、下地2カ所、上野3カ所、伊良部1カ所、多良間1カ所が設置され、来年2月末まで行われる。
 中級講習は苧麻績み、撚りかけ・かしかけ、10ヨミの3コースを設定。初級修了後に、より専門的に各工程の技術力の向上に取り組んでいく。新設の上級講習は各教場で講師の助手を行いながら指導方法などを学んでいく。糸績みに継続的に携わり、宮古上布に適した糸の製作、指導者の育成を目指す。
 今年度の研修内容について漢那会長は「初級で基礎を学んで終わりではなく、専門的なコースでスキルアップし、将来は指導者を目指してほしい」と期待する。選定保存技術保存団体の認定から20年目に入ったが、依然として養成講習修了後の定着と継続が課題。同保存会の活動は技術の伝承が中心だが、苧麻糸全体の問題として供給体制の確立が求められるという。漢那会長は「身に付けた技術を生かせる場について考える必要がある」と話した。

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