「世界一周学校」校長 中村雅人さん やりたいことにチャレンジする!知らない世界を知る体験ができる学校を設立し、日本中の人々に世界を知るきっかけと好きなことに一歩踏み出すきっかけを届けている

井上美香のあんちいーやー⑧世界一周したある男性の話

 彼との出会いは2年前の宮古島冬祭りのトークゲストだった。2年半かけて世界一周した中村雅人さん(33)。短い時間の中で旅の写真をおりませながら、キルギスという国でロバを買って旅しようとしたら逃げられたり、サハラ砂漠で250キロマラソンに挑戦したりなど世界というスケールの大きさに驚くことばかりだった。だが、彼が世界一周にチャレンジしようとしたのは、ある後悔からだった。

コーチに挟まれて:サッカー少年だった頃の雅人さん

 小学校からサッカーをやり将来はサッカー選手になると思っていた。でもなぜか高校に入ってなぜか大好きなサッカーを辞めてしまったのだ。偏差値の高い大学に進学してなぜサッカーを続けなかったのかと後悔する。キャンパスライフは楽しかったが、なぜかふと生きるってことや死ということまで悶々と考える日々。好きなことをやらなかった自分。誰かのいいことや社会のいいことを指標に生きてまるでロボットみたいだなと思ったそうだ。
 大学3年の時、自分がやりたいことを紙に書き出した。綺麗な海を見たい、世界中に友達を作りたい、英語が話せるようになりたい、自分らしく輝きたいだった。そこでフィジー島に語学留学し自分のいる世界から一歩踏み出した。その島は「世界幸福度調査2018」で1位になるほど、底抜けに明るく皆が元気で情熱を持って暮らしている島で宮古で言う「ゆいまーる」な生き方がそこにあった。
 そして日本の社会で自分がどれだけ活躍できるかと自分を試すために就職をする。3年目でお金も貯まりこのまま行けば順風満帆な暮らしが待っている。だが本当にやりたいことは何だ?答えは旅がしたい!人生死ぬ時どちらをやらなかったら後悔するか?との問いに会社を退職し「世界一周」を選んだ。

サハラ砂漠250キロマラソンに挑んだ雅人さん:自分のワクワクすることが誰がの喜びになったり勇気になることが一番の幸せと雅人さん

 自分の可能性を最大限に広げる旅にしようと出発。旅に出て2日目で上海でマフィアに脅され20万円を奪われた。私なら日本に帰りたくなる。だが命はあるしお金がただなくなっただけ悩んでも状況が変わらない前に進もうと、これから生まれる新たな体験に向け103カ国旅をし続けたのだ。彼は旅で貧困や教育、飢餓、ジェンダー平等、食文化やお金の価値観など目の当たりにして何かを感じ取ってきた。

 日本は安心安全な国だと言われているが世間体を気にしてチャンレンジしにくい国に思えるという。「今を生きる」という自分の範囲がどこまで見えているのか?今の若者に問う。スマホで動画やSNSなどその時の楽しいこと「指先の欲求」に溺れていないだろうか?情報過多で体験や体感がなく頭でっかちになっていないか?人は前例のあるものに安心を得たり無難なチョイスをする。

 彼の後悔から生まれた後悔しない人生。一つ一つ自信あるポジティブな言葉に、私も今人生で後悔していることはないかなとふと思い返してみた。進路選択で我が子と話す大切な時期。何をしたい?何をしている時が自分が輝いていられる?わからなくても悩んでいても、人生の岐路にたったどんな問題でも、今自分が見ている小さな世界から一歩踏み出す勇気の先に新しい世界が広がっていると思った。
 親の視点で我が子を思った時、心配で小言を言いたくもなるが、「君ならできる、信じているよ」といつでもどこからでも見守って応援することが産んだ責任にも思えた。

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