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絆ホールディングスが会社更生法の適用を申請 大阪市が返還請求していた150億円の回収は絶望的か

障害者向け就労支援などを手がける絆ホールディングスが、22日に大阪地方裁判所に会社更生法の適用を申請した。関連法人を含めた負債総額は289億円。社会福祉事業者グループの倒産としては過去最大規模となる。

絆ホールディングスは、障害者の就労支援などを目的として国や自治体から給付される加算金を過大に受け取っていた疑惑が浮上。2025年8月に大阪市が監査を進め、2024年度から2025年度に受け取った約150億円を不正に受給していたと認定した。

大阪市は、市の支払い分79億円にペナルティーを加えた110億円の返還を請求していたが、会社更生法の適用申請により、返済計画は暗礁に乗り上げる可能性が高そうだ。

絆ホールディングスは就労移行支援体制加算という仕組みを悪用したと見られている。この加算金は、就労継続支援A型事業所から一般就労へ移行し、6か月以上継続して勤務している場合に、全利用者日数に単位数を上乗せするものだ。一般就労へと移行するインセンティブ制度である。

問題視されていたのは、絆ホールディングスが独自に立ち上げた「36か月プロジェクト」だ。A型事業所の利用者をグループ会社に一般就労として再雇用。6か月以上経過したら就労移行支援体制加算を受ける。その後、A型事業所の利用者へと戻し、再度グループ内の別会社へと一般就労として切り替え、就労移行支援体制加算の対象者にするという循環構造だ。

大阪市は監査結果を報告した会見で、「就労定着に向けた支援体制が構築できていると評価できない」と指摘した。大阪市の調査では、事業所で行われていた「オンライン就労」について、自宅で動画を見ているだけだったとの証言が得られたという。

これを受け、絆ホールディングスは公式ホームページにて、「グループでの雇用(一般就労チャレンジ)を通じて経験を積み、一般企業への就職を目指す過程で困難が生じた場合にはA型事業所の利用に戻って再度挑戦できる仕組み」だとコメントしている。

植物の水やりは適切な就労支援と言えるのか

絆ホールディングスに限らず、就労支援は問題が指摘される事例が多い。2026年は茨城県龍ケ崎市の就労継続支援B型事業所で700万円の不正受給があったとして、6月1日付で指定を取り消した。県は事業者に対して、980万円の返還を求めた。利用者のサービス提供日を水増ししていたというのが不正の内容だ。

共同通信は就労支援など障害福祉サービス事業者の不正受給が2020年度から2024年度までの5年間で、80億円に上っていたと報じている。就労継続支援B型などは事業所数が2023年10月時点で1万6000を超えている。事業者の数が多く、新規参入者も多いためにガバナンス不全に陥っているケースが少なくないようだ。

就労支援事業は開業コンサルティングやフランチャイズビジネスが広がっており、国から給付金の安定収入が得られるといったうたい文句で勧誘するケースもある。安易な気持ちでビジネスを始める事業者もいるようだ。

事業所における生産活動が適切に行われているのかという別の問題もある。厚生労働省は、生産活動と称してeスポーツや植物への水やりを1日数回行うだけの活動、卓球教室や麻雀教室の手伝いにとどまる活動など、不適切な事例が散見されたと報告している。

一方で、就労支援事業所の利用者は、精神疾患や知的障害などを抱えており、一般就労に困難を抱えている人が多い。仕事をする前に社会生活を営むための生活リズムを作るところから支援が必要なケースもあるのは事実だ。

支援を必要とする人がいるからこそ、事業者に対しては厳しい目を向けるべきだ。厚生労働省は2024年の就労系障害福祉サービスから一般就労への移行が2003年比で22.5倍に増加したと発表している。絆ホールディングスの不正受給問題は、一般就労への移行実績という数字を重視する制度設計のひずみが生んだ側面もあるように見える。

文/不破聡 内外タイムス

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