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日産の自動車製造工場が軍事用ドローンの生産拠点に  アンドゥリルが追浜工場取得に前向き

アメリカの防衛関連企業アンドゥリル・インダストリーズが、日産自動車の追浜工場取得に向けて協議していることが明らかになった。ロイター通信が報じたもので、アンドゥリルは工場で働く従業員の多くをドローンの製造要員として採用するとの意向を示している。

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日本は4月21日に防衛装備品の輸出に制約を課す5類型を撤廃。国策として防衛生産や技術基盤の強化を図り、防衛装備庁内に防衛イノベーション科学技術研究所を新設してスタートアップとの連携を図るなど、防衛産業の活性化に向けた動きが激しい。

アンドゥリルが追浜工場取得に前向きな姿勢を示したことは、日本の安全保障が転換点を迎えていると見ることができる。

アンドゥリルはドローンなどを手がけるアメリカの防衛テックだが、自律型ドローンを製造して納品するという単純なビジネスモデルではない。会社の競争力の源泉は「ラティス」というソフトウェアで、陸・海・空に加え宇宙領域までを統合し、自律的な指揮統制を支援するものだ。

アンドゥリルは2025年12月に日本法人を立ち上げ、純日本産ドローンの「Kizuna」をお披露目している。このドローンは半導体からバッテリー、モーターなどあらゆる部品を日本製にすることにこだわった。

中国など海外製の部品を使わなかったことには理由がある。ロシアとウクライナの戦争においてドローンの有用性が鮮明になったが、調達を他国に依存することのリスクもあらわになったのだ。ウクライナは当初、中国製ドローンへの依存度が高かったが、中国政府が2023年に輸出を段階的に制限。ウクライナは自国での調達へとシフトした。

他国への依存は、安全保障上大きなリスクとなる。

それを踏まえると、アンドゥリルが日本に製造拠点を持つことの意味は2つある。1つは日本が純国産の自律型ドローンが円滑に調達できる環境を整えられること。もう1つは肝心のドローンの制御システムをアメリカ企業に依存することになる。

自動車工場の軍事転用は世界的な潮流ではあるが…

日本の安全保障という観点に立つと、国産ドローンの製造ができるメリットは大きい。一方、システムはアメリカに委ねられるため、完全なる自律性が担保されるわけではない。

特にアンドゥリルが注力しているのは、ソフトウェアである。自律型の指揮統制システム「ラティス」は戦況判断と意思決定を支援するもので、他のシステムとの連携も進めている。すでに、オラクルやマイクロソフト、アメリカのデータ解析企業パランティアなどと提携し、システムのブラッシュアップを重ねているのだ。

サプライチェーンの管理も得意としており、スピーディーな装備品の調達にも一役買いそうだ。つまり、アンドゥリルの本格的な日本への進出は、日本の防衛において重要な位置づけになりうるドローンの制御と、サプライチェーン管理でも依存度が高まる可能性がある。

2025年12月にアンドゥリルの創業者パルマー・ラッキー氏が、小泉進次郎防衛大臣と意見交換した。小泉氏は「このご縁を大切に、日本の防衛産業の発展と日米で新たなサプライチェーンの構築に繋(つな)げていきたいと思います」とコメントしている。

ラッキー氏は防衛産業の幹部らしくロビー活動には熱心な様子だ。奇しくも取得に向けた協議をしていると報じられている日産の追浜工場は神奈川県横須賀市にあり、小泉氏のお膝元でもある。

自動車工場を軍事向けに転用する動きは世界的なものでもあり、ドイツのフォルクスワーゲンは、北西部オスナブリュックの工場を軍事輸送分野の生産拠点転用に向けた協議に入ったことを明らかにした。フォードやゼネラル・モーターズも防衛産業との結びつきを強めている。

背景にはEVなど自動車産業の販売不振がある一方で、自動車工場は精度の高い製品を大量に作る仕組みが整えられていることがある。

日産の追浜工場についても時代の流れだと見ることはできる。しかし、アメリカ企業がドローンの生産拠点を日本に築くという単純な図式とは異なることを、多くの人が認識するべきだろう。

文/不破聡 内外タイムス

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