日本の「お城」が危ない 老朽化した天守を木造再建する費用は数百億円規模に
日本の城は、美しいシルエットと高い建築性から観光ルートでは人気の定番ジャンル。若い世代や外国人観光客の間でもブームが続いている。
しかし、その城の老朽化やそれに伴う維持管理は、現在大きな社会課題となっている。日本の城が抱える老朽化問題には、「昭和の再建建築の限界」と「伝統的建造物・石垣の継承」などの側面がある。
まず、全国に80以上ある天守のうち、およそ60が鉄筋コンクリート造りであり、その多くに寿命が近づき対応を迫られている。コンクリート建築の寿命はおおむね50~60年と言われており、単なる耐震補強で延命するか、巨費を投じて本来の姿である「木造」で復元し直すか、自治体は非常に難しい選択を迫られている。
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例えば、広島城は3月に「閉城」し、天守に入れなくなった。耐震診断の結果、大規模な地震で倒壊する危険性が指摘されたのだ。
広島城は原爆によって、もともとあった木造の天守が倒壊し、戦後、全国に先駆けて鉄筋コンクリートで再建された。復興のシンボルとして重要な役割を果たしてきたが、70年たって、そのコンクリートが劣化し建物が寿命を迎えつつある。
NHKの「クローズアップ現代」によれば、選択肢は3つ。1つ目は、耐震改修して、今の天守を継続利用。これには8億5000万円かかると推計されている。2つ目は、木造でかつての姿を復元。費用は200億円だそうだ。3つ目は解体だが、それにも40億円かかるという。広島市は今後、5年かけて方針を決定する予定だ。同じような課題が全国の城にも突きつけられている。
木造でもコンクリートでも多額の修繕費が
金のしゃちほこで有名な名古屋城も、耐震性の問題などで現在は天守が閉館されているが、2017年に木造復元が決定された。市民へのアンケートでも6割以上が賛成した。名古屋市は寄付も募り、およそ500億円をかけて、2022年に完成させる方針だったが、石垣の問題が出てきた。現在の天守を解体して木造再建する際、貴重な石垣が傷まないよう、調査や補修を行う必要があるとのことだ。
そして、現在の天守に設置されているエレベーターだが、木造で復元すると、今と同じように設置することが難しいそうで、バリアフリーの問題も課題だそうだ。木造復元の完了は最短でも2032年度以降の見通しである。
江戸時代から残る12の「現存天守」や国指定の史跡などには、歴史的財産であるからこその苦悩がある。文化財の修復には、伝統的な建築構法や左官技術、木工技術を持つ専門の職人が不可欠だが、後継者不足が深刻化している。そして、地震や豪雨の多発により、城の土台である石垣が崩落するリスクも高まっている。石垣は一度崩れると、元の石の正確な位置を特定して積み直す「原位置復元」に膨大な時間と費用がかかるのだ。
木造でもコンクリートでも、多額の修繕費がかかる。国や自治体の予算(税金)だけではまかなえないため、寄付やクラウドファンディングを募ることが一般化している。
文/横山渉 内外タイムス






