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強化策としてすでに前例も サッカー日本代表も“2チーム体制”を敷くべき理由

「世界一」への挑戦は、あまりにも険しかった。

FIFAワールドカップ2026(W杯)北中米大会で、日本代表は決勝トーナメント1回戦でブラジルに逆転負けを喫し、ベスト32で大会を終えた。先制点こそ奪ったものの、試合を通して突き付けられたのは、なお埋めきれない世界との差だった。

森保ジャパン3184日の教訓 日本代表が世界一を実現するための理想の監督像とは

約8年に及んだ森保一監督の長期政権は一区切りを迎え、日本代表は新たなサイクルへ入る。監督人事を含め、次の4年間へ向けた強化策が注目される中、本気で「ワールドカップ優勝」を目指すのであれば、これまでの延長線上ではなく、大胆な発想の転換が必要ではないだろうか。

その一案として提案したいのが、「海外組」と「Jリーグ選抜」による“2チーム体制”だ。

起用しきれていないJリーグ勢で底上げを

日本が初めてワールドカップに出場した1998年フランス大会。当時の日本代表22人は全員がJリーガーだった。その後、日本人選手の海外移籍は加速度的に進み、大会を追うごとに海外組は増加。そして北中米大会では、国内組は過去最少の3人となった。

招集されたのはGK大迫敬介、GK早川友基、DF長友佑都。ゴールキーパーは鈴木彩艶が正守護神を務め、長友も精神的支柱としての役割が大きかったことを考えれば、実質的にJリーガーがスタメンとしてピッチに立つ機会はほとんどなかったと言っていい。

森保監督は「海外組のほとんどはJリーグで育った選手」と、ことあるごとにJリーグの重要性を口にしてきた。しかし、そのJリーグで活躍する現役選手たちが、日本代表で実力を示す機会は極めて限られている。国内最高峰リーグという貴重なリソースを、代表強化へ十分に還元できているとは言い難い。

もちろん、欧州トップリーグで研さんを積む海外組が、日本代表を押し上げてきたことは間違いない。だが、それはJリーガーの実力が代表レベルに及ばないことを意味しない。実戦の舞台さえあれば、新たな戦力や武器が見つかる可能性は十分にある。

だからこそ、「Jリーグ選抜」というもう一つの日本代表を持つことは、極めて合理的な選択肢ではないだろうか。

例えば、日本開催の国際親善試合はJリーガー主体で戦い、海外組には無理な帰国を求めない。また、ワールドカップアジア予選で実力差のある相手との試合では、新戦力を試す場として積極的に活用する。代表活動を「勝つため」だけではなく、「育てるため」の時間にも変えられる。それこそが2チーム体制の最大の価値だ。

一方の海外組は、ドイツ・デュッセルドルフを拠点に欧州で活動する。同地にはすでに日本サッカー協会(JFA)のオフィスがあり、今後は天然芝ピッチや治療室などを備えた常設拠点として整備される予定だ。

近年の欧州は大会新設やレギュレーション変更の影響で試合数が増え続けている。例えば鎌田大地は2025-26シーズン、所属クラブで46試合に出場。UEFAカンファレンスリーグ決勝の翌日にはアメリカへ飛び、日本代表へ合流するという超過密日程をこなした。

長距離移動による負担軽減やクラブとの関係維持という観点から見ても、2チーム体制がもたらすメリットは決して小さくない。

すでに成果を上げた前例はある

もっとも、この構想は決して机上の空論ではない。男子バレーボール日本代表は2022年からA代表とB代表を明確に分けて運用している。

A代表はオリンピックや世界選手権、ネーションズリーグなど最高峰の大会へ出場し、B代表はアジア選手権や親善試合で経験を積む。若手や当落線上の選手に継続して国際舞台を経験させながら、戦術を共有し、代表全体の底上げを図る強化策だ。

実際にB代表からA代表へ定着した選手も多く、この取り組みは2023年ネーションズリーグ銅メダル、2024年銀メダルという成果につながっている。

サッカー日本代表にも、似た成功例がある。2019年、招待国として出場したコパ・アメリカだ。森保監督は当時22歳以下だった東京五輪世代を中心に代表を編成し、南米の強豪との真剣勝負へ送り込んだ。

当時は「ベストメンバーで挑むべき」という批判もあった。しかし、冨安健洋、板倉滉、久保建英、上田綺世、前田大然らは、その経験を糧にA代表の主力へと成長。東京五輪、カタールW杯、そして北中米W杯でもチームの中心を担う存在となった。

さらに2チーム体制は、近年深刻化しているマッチメイクの課題も解決できるかもしれない。

UEFAネーションズリーグ創設以降、欧州各国との親善試合は年々組みにくくなり、日本代表の国内親善試合は実力差のある相手との対戦が目立つようになった。であるならば、海外組とJリーグ選抜による紅白戦を、日本代表戦として開催してはどうだろうか。海外組を国内で見られる貴重な機会になるだけでなく、Jリーガーにとっても、自らの現在地を測る格好の舞台となる。

2011年の東日本大震災復興支援チャリティーマッチでは、日本代表とJリーグ選抜による真剣勝負が実現し、多くのサポーターの記憶に刻まれた。あの熱狂を、今度は日本代表強化という目的のもとで実現する。それは単なる興行的な価値にとどまらず、日本サッカー全体の競争力を押し上げる一手にもなり得るはずだ。

海外組とJリーグ選抜。2つの円が競い合い、高め合う。そして2つの円が交わることで本当の意味で「最強の日本代表」が生まれる。世界一という目標を本気で掲げるのであれば、改革が求められる今こそ、その一歩を踏み出す価値は十分にある。

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