今年最大のIPO「GO株式会社」の上場を利益につなげたDeNAの手法
タクシー配車アプリなどを手掛けるGOが東証グロース市場に上場し、初日は2000万株以上の取引が行われた。
上場後初の取引における基準価格として設定される「公開価格」は2400円。これに対してGOは2910円で取引が始まった。時間が経過するごとに株価は下落していき、初日は2640円で取引を終えているが、大きな利益を上げた会社がある。大手IT企業のDeNAだ。
オークションサイトのビッダーズから始まり、ゲームプラットフォームのモバゲー、横浜ベイスターズの買収など、順調に規模を拡大してきた同社は、タクシーの配車アプリ事業にも参画していた。MOV(リリース時はタクベル)という名前のアプリを手掛けていたが、DeNAの関連事業、JapanTaxiという名前だったGOが統合し、GO株式会社の原型が誕生。その流れで大株主として名を連ねていたのだ。
GO上場までの間には、日本交通とDeNAが23.2%の株式を保有していることが明示されていたが、このうちDeNAは保有株の半数以上を売却することも明らかにした。結果的に、上場初日の段階でDeNAの持株比率は4.99%まで低下。今年最大のIPOと呼ばれる企業の株を売却したことで、365億円を超える売却益を計上。持ち株は市場でGOの株を買い求める投資家たちへと渡っていき、投資資金の回収に成功している。
株式の売買について報告義務が発生する大量保有報告書は、5%以上の株主に対して課されるルール。報告義務に縛られることなく自由なタイミングで株式の売却を行うことも可能になるが、現在の持ち株に対しては新規上場株の売却を禁止するロックアップが発動しているため、しばらくはGOの社長である中島宏氏の持ち株を上回る大株主として、名を連ねることになりそうだ。
株の売却によって大きな利益を上げたDeNAだが、3月には任天堂の株も一部売却している。こちらは「持っている株を売却して資金効率を高める」という売却理由だが、今回手放した株だけで400億円以上の利益を出している。背景には旧村上ファンド系からの圧力があったとも言われているのだが、どのような理由であれDeNAは今年だけで700億円以上の現金を確保している。株主らにとってはGOの株を売ったことよりも、この大金をどのように動かすのかが一番気になるところだろう。
なお、DeNAの公式X(旧Twitter)では「持分法適用関連会社のGO株式会社が新規上場いたしました」と、GOの上場時に投稿しているが、その10分前には「株式の一部売出しに伴う持分法投資利益の計上に関するお知らせ」と題したIRニュースを配信。投稿した時点では既に持分法適用関連会社から外れ、単なる大株主の一企業になっていた。
文/池田聖人 内外タイムス編集部


