レオパレス21に約2700億円TOB 光通信を支援する投資ファンドの狙いとは
アパートの賃貸・管理などを手掛けるレオパレス21が、TOB(公開買い付け)によって非公開化される公算が高まった。光通信と、韓国系投資ファンドMBKパートナーズ、NEC系ファンドが買付総額約2700億円を投じるTOBに、レオパレスが賛同している。
レオパレスは2019年3月期から3年連続で最終赤字を計上し、2020年6月末には負債が資産を上回る債務超過に陥った。しかし、2022年3月期からは黒字に転換。増収と営業利益の増益を続けて復活を果たした。
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不祥事で経営危機 レオパレスを救った投資ファンド
経営危機を招いたのが不祥事だった。
アパートの各住戸を区切る界壁の施工不備をはじめ、建築基準法や設計図、大臣認定の仕様に適合しない施工が次々と発覚。法令順守や品質管理体制の不備が表面化した。第三者委員会による調査報告を受け、当時の社長を含む取締役などの引責辞任へと至った。
一連の問題は補修工事やオーナーへの補償にまで発展し、巨額の損失を招いた。窮地を救ったのがフォートレス・インベストメント・グループだった。当時はソフトバンクグループの傘下にあった不動産投資に強みを持つアメリカの投資ファンドだ。
レオパレスは2020年にフォートレスから合計572億円を調達している。新株予約権付きの融資で300億円を調達したが、当初は年14.5%という高金利で、一定の入居率を満たした場合でも10%だった。低金利下の日本において、割高な金利水準だった。
142円で取得した株が1000円に フォートレスの投資回収
普通株では120億円の調達だった。フォートレスは8450万株あまりを1株142円で手にした。2025年に3400万株を1株682円で市場外売却し、約232億円を回収した。税金や経費を無視すれば112億円の利益が出た計算になる。
そして今回のTOBだ。5000万株あまりをTOB価格1000円で売却すると、505億円である。120億円の投資に対して、232億円と505億円で737億円だ。単純計算によるキャピタルゲインは617億円にのぼる。
新株予約権をめぐる一連の取引でも、取得費や権利行使に要した資金を差し引くと、単純計算で620億円を超える投資利益を得たとみられる。今回のTOBで残る普通株を1株1000円で売却すると仮定すれば、普通株による利益と合わせて1200億円規模に達する計算だ。ここには融資による利息収入や優先株の配当収入は含まれていない。
レオパレスは施工不備問題で揺れに揺れ、社会的信用が失墜していた。フォートレスは不確実性の高い投資に踏み切ったわけだが、その果実は大きかったとみられる。
それでは、今回のレオパレスの非公開化で投資ファンドはいかなる青写真を描いているのだろうか。ポイントは光通信だ。
光通信は何を狙うのか レオパレス再成長への青写真
TOBが成立すると、光通信が34%、MBKが33%、NEC系ファンドが33%を保有することになる。光通信とレオパレスは、実業におけるシナジー効果が高そうだ。光通信はレオパレスの管理物件に電気やガス、光回線などを導入し、光通信の法人顧客をレオパレスに送客するという構想を描いている。
約2700億円に及ぶTOBを光通信が単独で実施する場合、資金負担は大きい。MBKとNEC系ファンドが加わることで、光通信は買収に伴う資金負担とリスクを分散できる。
投資ファンドはいずれ保有株を売却し、投資資金を回収する出口戦略を描く必要がある。
レオパレスは2026年5月に中期経営計画を上方修正し、2028年3月期に売上高4778億円、営業利益431億円を目指している。2026年3月期実績と比べると、売上高は約7%、営業利益は約20%増える計算だ。この計画を達成し、その先の成長軌道を描けるかどうかが、ファンドにとっても重要になる。
光通信はリスクを分散した可能性が高そうだ。レオパレスは非公開化した後、構造改革を進めることが予定されている。
非公開化後の具体的な役員構成は明らかになっていないが、33%ずつを出資するMBKとNEC系ファンドが、取締役の派遣などを通じて経営改革に関与する可能性も考えられる。光通信からすれば、専門家による再成長支援が受けられるわけだ。
例えば将来、MBKが保有する33%を光通信に売却するだけでも、光通信の持分は67%となる。光通信がレオパレスを長期保有する一方、NEC系ファンドが段階的に退出するという出口も理論上は考えられる。
投資ファンドはレオパレスの企業価値をどこまで引き上げ、どのような出口を見いだすのか。非公開化は再建を終えたレオパレスが再成長の段階に入ったことを象徴する取引ともいえそうだ。
文/不破聡 内外タイムス






