なぜ企業は「高専生」を奪い合うのか 高専卒の求人倍率35.3倍、大卒の21倍超
多くの企業で10月1日、2027年春に卒業予定の大学生らを対象にした内定式が行われ、その様子がニュースで流れた。就職市場では学生優位の売り手市場が続いていて、27年卒の就職内定率は8月末時点で85.6%(マイナビ調べ)という。
そんな中、就職市場で注目が集まっているのが「高専」の学生たちだ。即戦力の理工系人材として、もともと就職は強かったが、近年はさらに人気がアップしているそうだ。
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高等専門学校(高専)は全国に58校(国立51校、公立3校、私立4校)あり、中学卒業後に5年制一貫教育で主に理工系の分野を専門的に学ぶ。また、5年で本科を卒業した後、さらに2年間、高度な専門的知識、技術を学ぶための専攻科もある。5年で本科を卒業すると短大卒と同等の学歴に相当するが、大学へ編入することも可能。専攻科を卒業すると大卒と同等の「学士」の学位が取得でき、大学院に進学することも可能だ。
今年3月卒の求人倍率をみると大卒は1.66倍(リクルートワークス研究所調べ)に対し、高専卒は35.3倍(国立高専機構調べ)と圧倒的に高い。その理由について話を聞いた就職情報誌の編集者はこう解説する。
「近年はITの発展などで理系人材の需要が急激に高まっていることが背景にある。また、高専は5年間で専門知識と実験・実習スキルを一体化させ習得しているので即戦力になりやすい。熊本で半導体製造工場を運営するTSMCが高専卒を積極採用していることはよく知られており、最近では24年から三井住友信託銀行、25年からSMBC日興証券、今年から三菱UFJ銀行と、金融界も高専卒の採用を強化し始めている」
ただし、いいことばかりのようにみえる高専側にも課題はあるようで、少子化、知名度の低さに加え、専門性が高いゆえ、中学の段階で将来の職業をある程度決めている学生しか受験しないため、学生の確保に苦労している側面があるという。また、近年、減ってはきているが、給料が大卒より低いケースもあるそうだ。
文部科学省は今年2月、AIなどデジタル技術の発展に伴い理系人材不足が予想されるため、2040年までに全高校普通科で文系と理系の生徒の割合を同程度とすることなどを掲げた高校教育改革の基本方針を公表した。そんな時代に就職市場での高専卒の人気はますます高まっていくのか、注目される。






