【福田淳の対談闊歩】玉木雄一郎(第2回)「決断できない」のではなく今は高市政権に与しない立場を取っている
高市政権発足時から、首相より「一緒に責任を担ってほしい」と秋波を送られてきた玉木雄一郎・国民民主党代表。当初は連立政権入りもうわさされたが、現在は消費税減税の政策の違いなどから自民党との溝は深くなった。今回は、なぜ政治家を目指したのか、さらに「決断できない」と揶揄されることについても持論を述べた。
【福田淳の対談闊歩】玉木雄一郎(第1回)香川の農家から大蔵官僚へ 幼少時代に憧れた国連事務総長への夢 から続く。
福田 僕ね、大雑把なアイデアなんですけど、やっぱり本を読むとか、旅をするってことは人間を作ると思うんですね。だから「新潮文庫の100冊」って、いつもすごいなと思うんです。
玉木 新潮文庫の100冊ね。
福田 (フランツ・)カフカから三島由紀夫まで全部入っているんですよ。まずこれ読んで、あとは1年間どこでもいいから絶対に海外に行ってもらうっていうことを、毎年80万人ずつにやっていく。
玉木 確かに。
福田 もう何も考えないで、教育はそれだけになっても、ずいぶん変わるんじゃないかな。
玉木 自発的・内発的な興味・関心しか、人をドライブさせないって言いますからね。
福田 絶対にそうですよね。だから、そういった関心事を見つけるきっかけを作るだけでいい。だいぶ話がそれましたけれども、卒業論文で「国連事務総長になりたい」というのも、すごいなと思いました。今やっていることと地続きで。
玉木 地続きでしたね。小学校6年生の時の卒業論文ではみんなよく書くじゃないですか。プロサッカー選手とか。
福田 でも、国連の事務総長ってすごくないですか?
玉木 だけど、そのことをずっと忘れていたんですよ。36歳で初めて衆議院選挙に出ることになって、地元に帰った時、小学校の同級生が床屋さんやっているんですけど、「こんなの書いていたよ」って卒業文集を持ってきたの。国連の事務総長って、そういえば書いたなと。
福田 僕は007(ダブルオーセブン)ですよ。事務総長もかっこいい。
玉木 小学校の3年生か4年生の時に、世界の貧困の本を読んで、小さい子どもなんだけど、栄養失調でお腹がまん丸になって。本人が選んで生まれてきたわけじゃないのに、住んでいる国や生まれた地域が違うだけで、なんでこんなに差がつくのか、すごく関心を持ったんですね。
福田 出生は決められませんからね。
玉木 これは政治の仕事だろうと思ったのが、事務総長のきっかけですかね。
福田 玉木さんはいい意味でナイーブだし、感じやすい。そういう人がリーダーになってくれると、本当にありがたいですよね。でも、僕から見て玉木さんは、権力を取りに行こうっていう人にはあまり見えないんですね。どうなんでしょう?
メディアの作る虚像やブームの連続の中から本質を見抜く

玉木 もうちょっとどん欲にね。権力がないと、理想だけではできませんから。今まで「対決より解決」と言いながら、いろいろ先進的なことも提案してきました。結構、経済政策とか引っ張ってきた自負はあるんですけど。
福田 そうですね。本当に素晴らしい、新しいポジションを築かれましたよ。
玉木 これからもまだまだやりたいことがいっぱいあります。最近も感じるんだけど、数の力で負けてしまって実現できないので、「いい意味での権力」はやっぱり取りにいかないと。メニュー並べておくだけではダメなので。
福田 田原総一朗さんが20年ぐらい前の「朝生」か何かの番組で、「高市(早苗)さん全然知識がないからダメだね」って本人を前に批判しているショート動画が今、むちゃくちゃバズっているんです。つい最近、その話を田原さん本人にしたら、「もう最初から能力ないからダメだと思った」と言っていた。「安倍(晋三)さんはまだ人の話を聞くけど、あの人は人の話を全く聞かないからね。全然、発展性がない」って話していました。
でも、高市さんが圧倒的多数を取った直後に、田原さんが同じようなことを言ったら、めちゃくちゃ炎上して、番組が無くなるぐらいのインパクトがあった。お気の毒だと思ったんですけどね。すごいですよね、権力の熱っていうのは。半年もたっていないのに「もうなんかダメじゃないか」みたいなムードに、すぐ変わるじゃないですか。ああいう感じって何なんですか?
玉木 ネットの影響も結構大きいと思うんです。高市さんが大勝ちした半年前は、石破(茂)さんの時でも「自民党は全然ダメだ」ってなっていたでしょ。これ同じ人が言っているんですよ。冷静に考えたら。メディアの作る虚像もあるし、我々の世界は全部ブームの連続で仕方ないけど、その中できちんと本質を見抜いてやっていく。有権者も一緒になって変えていかなきゃいけないと思う。
高市さんの意見とずれていたら反日認定

福田 僕ね、玉木さんを見ていて、好きだから贔屓(ひいき)目に見ているかもしれないけど、この1年いろいろあったけど、権力に対する近づき方は微妙に距離感があって、結果よかったですね、今。
玉木 これも言われるのは「近づくのか近づかないのかどっちか分からない」と。たたかれるんですけど、結構慎重に見ていて。
福田 素晴らしいですよ。その方がみんな政策が分かります。
玉木 「決断できない」と言われることが多いんです。ただ、例えば高市さんを応援する人から見ると、そこに与(くみ)することが決断で、逆に今は「与しない」という決断をしているんですよ。
福田 みんな単純だから、権力に近づいた決断の方が正しいと、その時は思っちゃう。
玉木 楽だしね。ネットで違うことを言ったら、中身がいいか悪いかじゃなくて、とにかく、高市さんが言っていることとずれていたら、全部反日とか言われて。日本のためを思って言っているんだけどな。やっぱり発言すると、もう寄ってたかってたたかれるから。
そうすると、そういった一定の方向の人たちの意見ばかりで埋め尽くされる。Xがそんな風潮になっているので、みんなThreadsとかInstagramに逃げようってなる。そっちの方が平和な感じにもなっているので。一気に一方に寄りがちな日本人の民意っていうものがあるんですね、昔から。
福田 欧米が作ったSNSは、日本人と相性が悪いと思う。だって日本人って他人の目しか意識しないんで、他人の目が自分の目になっちゃったんですよ。でもアメリカ人って自分が強いから、どんな極端なこと言ってたたかれても平気の平左じゃないですか。だから向いているんですよ。
インフレから次の局面に転換しなければならない
福田 玉木さんにお願いしたいのは、SNSについての被害状況を調べて、規制してもらいたい。日本だけ曖昧なんですよね。表現の自由とか言っているんですけど、そんな自由ないと思うんですよ、僕は。人が(誹謗中傷で)死んでいるわけですから、絶対いけない。でもこの意識がすごく低くて。
玉木 確かに。日本が相性が悪いっていうか、逆に相性がいいんですよね。
福田 妬(ねた)み、嫉(そね)みにはいい場所なのかもしれない。
玉木 あと、匿名での発信。逆に言うと、みんな実名で言えなくて、溜めているばっかり…。特に子どもたちの影響っていうのはね、本当にちゃんと考えていかなきゃいけないなと。
福田 玉木さんがいろいろな局面で活躍されているのは知っているんですが、やっぱりここ数年で言うと、SNS人気みたいなことは相当良い影響としてあったと思うんですよね。
玉木 そうですね。プラスもあるし、たたかれる時もあります。時々炎上していますからね。
福田 だけど、政策がむき出しで見えて、分かりやすくなったっていうのはいい部分でしたね。今は人気の割にはそれが見えなかったり、トンチンカンだったりして。「今、どうなんだろう」っていう感じの毎日なのでは?
玉木 私も高市さんもそうなんですけど、やっぱりデフレからインフレにどう持っていくかの政策が、今、目下の一番の課題。でも、もうインフレになっちゃったんですよ、世界中が。インフレでどんどん物価が上がる。一回、大気圏から出たんです。出てもさらにやろうとすると、どこ行くかわからなくなる。次の局面に転換しなければいけない。つまり前提が変わったのに、同じ政策だからズレが出てきているっていうのが実態です。
【福田淳の対談闊歩】玉木雄一郎(第3回)総理大臣になる気持ちはなくなったことがない その思いがないなら身を引くべき に続く。28日18時公開

《プロフィール》
玉木雄一郎(たまき・ゆういちろう)衆議院議員(7期目)、国民民主党代表。1969年、香川県生まれ。1993年東京大学法学部卒業。旧大蔵省入省。1997年ハーバード大学ケネディスクール修了。2005年財務省主計局主査を最後に財務省を退官。衆議院議員総選挙に初出馬、落選。2009年衆議院議員総選挙に再び出馬し、初当選。元アスリート(十種競技)。YouTube「たまきチャンネル」の登録者数は約59.5万人。趣味はピアノ、ギター、カラオケ、筋トレ、ランニング。






