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「VIVANT」監督を処分して終わりなのか――撮影現場の被害と「会社の責任」は別々に問われるべき

TBSの龍宝正峰社長は9月30日の会見で、日曜劇場「VIVANT」の福澤克雄監督に番組関係者へのパワーハラスメントに当たる言動があったことを認め、本人に厳重注意したと説明した。

週刊誌が報じたスタッフの骨折の経緯や、負傷と監督の言動との因果関係、被害者の契約上の立場などは公表資料だけでは確定できない。ここを混同したまま、監督の「処分」だけで問題を終わらせてよいのだろうか。

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会社の責任は監督への注意で消えない

監督個人が違法な言動で他人に損害を与えたなら、不法行為による賠償責任が問題となる。

一方、制作主体や雇用主には、危険を把握していたか、相談を受けてどう対応したか、安全な就業環境を確保したかという別の問いがある。会社の責任は監督への注意によって当然に消えない。現場の指揮命令、制作会社との契約、局の関与の程度を調べる必要がある。

仮に撮影中の負傷が業務上の災害と認められる場合、スタッフが労働者であれば、原則としてその雇用主の事業に係る労災保険給付が検討される。

労災給付と民事賠償は同一ではない。安全配慮義務違反や不法行為があれば、損害の範囲に応じて追加の賠償が問題になる。フリーランスでも、契約名だけで結論は決まらず、実際の指揮監督や働き方により労働者性、特別加入の有無、契約上の義務を確認する。

発注元の放送局が常に雇用主になるわけではないが、現場への実質的な支配や危険への関与があれば、責任の有無を個別に検討すべきだ。

「外部委員会を置いた」だけでは検証にならない

国分太一氏をめぐる日本テレビの対応では、同社は外部有識者によるガバナンス評価委員会を設け、会社の対応を評価する範囲を公表した。NHKでは、出演者による職員への性被害について、外部専門家を含む調査検討委員会が、被害後の組織的な対応や人事上の配慮の不備を指摘した。

事案も当事者も異なるが、個人の行為と組織の事後対応を切り分けて検証する必要性を示している。

外部の肩書が並べば独立性が保証されるわけではない。委員を誰が選び、報酬を誰が払い、調査対象を誰が決めるのか。被害者や下請けスタッフが報復を恐れず話せるか。原資料へのアクセス、会社側の対応も含む調査範囲、結果の公表方法まで確認して初めて、委員会の実効性を評価できる。

縁故による選任や結論への介入が今回あったと断定できる資料はない。それでも、選任過程と利害関係を明らかにしない制度には、会社に都合のよい検証に見える構造的な危うさが残る。

被害者を守るための説明責任

公表には被害者の特定や二次被害を避ける配慮が要る。ただし、詳細を伏せることと、会社が何を調べ、どの責任を引き受けたかを示さないことは同じではない。相談の受付から事実調査、補償、再発防止まで、制作主体と放送局の役割を説明することは可能だ。

問うべきは監督にどの処分をしたかだけではない。負傷の事実があるなら誰が治療と休業を支え、現場の危険を誰が見逃したのか。独立した調査とは、現場の責任を確認すると同時に、会社自身の判断を検証の対象に入れることである。

文/松本理平 内外タイムス

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