日本郵政元社員、不動産開発をめぐる収賄で書類送検 経営立て直しは前途多難
日本郵政の元社員が7月22日に収賄容疑で書類送検された。麹町の郵便局の建て替え・新築工事において、特定の事業者から便宜を図った見返りに現金や接待を受けていたというものだ。日本郵政は郵便事業の不振に加え、相次ぐ不祥事でガバナンス強化を求められることになりそうだ。
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不正が発覚したのは「麹町プロジェクト」と呼ばれる工事で、地上11階・地下2階の建物に郵便局と賃貸オフィス、駐車場を併設する計画だった。これは日本郵政が2021年5月に公表した中期経営計画「JP ビジョン2025」の一環。局舎建て替えと不動産開発の両立を目指す事業だ。日本郵政は会社の収益力を高めるため、不動産開発に力を入れていた。
不正に関わっていた人物が、中長期的に特定の事業者に対して便宜を図っていたことが明らかになれば、日本郵政の管理体制の甘さが露呈することになりそうだ。
日本郵政によると、高額な接待を受けたという情報提供が外部からあったのが2024年9月。元社員が日本郵政に入社したのは2013年だ。日本郵政の独自調査では2020年12月以降、週1~2回の高額な接待を受けていたことが明らかになっている。
日本郵政株式会社法においては、民営化後の社員についても公務員と同様に贈収賄で処罰する規定が設けられている。一部報道では10年以上にわたって元社員が接待や現金などを受けていたという。
7月29日に開いた記者会見にて、日本郵政は不正の原因が個人のコンプライアンス意識の不足であると言及した。しかし、コンプライアンスを順守するための取り組みが十分ではなかったことや、工事が一部の事業者に偏らないようなチェック体制が整っていなかったことなど、組織の管理・運営体制に不備があったことも露呈したように見える。
日本郵政グループで相次ぐ不祥事
今年5月には、日本郵便の東京支社が実施した郵便物の回収業務をめぐる入札で不正が発覚。日本郵便が社内調査を実施したところ、特定の事業者に受注させた見返りとして現金などを得ていたことが明らかになった。3人が懲戒解雇されている。
配達員の点呼を適切に行っておらず、再発防止の徹底などを命じる行政処分が下ったのは2025年6月だ。
業績の立て直しも道半ばである。2026年3月期の郵便・物流事業は118億円の赤字だった。郵便物の取扱数量の減少により、2027年3月期は1040億円もの赤字を見込んでいる。
2026年3月期の郵便物の取扱数量は6.5%減少、ゆうメールも2.1%減少している。一方、人件費は4.5%、経費は16.0%それぞれ増加した。郵便料金は2024年10月に値上げされているが、必要経費を補てんするには至っていない。
一方、政府は郵便局のネットワークを維持するため、年間650億円の支援を決定した。国が保有する日本郵政株の配当金などを活用するもの。全国の郵便局の維持費の一部を補助するというものだ。
過疎地やへき地において、郵便局は重要なインフラだ。それを維持するために支援するのは理解ができる。しかし、不正が相次いで再発防止策を打ち出しているものの、その効果が十分に検証されているとは言い難い。不祥事の背景に官業体質があったのであれば、公的な支援は逆効果にもなりうるように見える。
文/不破聡 内外タイムス






