16歳少女、警察に18日間身体拘束され衰弱死…不当逮捕とずさんな捜査の数々
兵庫県内の障害福祉事業所で働いていた当時16歳の少女・るなさん(仮名)が、兵庫県警明石署に逮捕・勾留された後に衰弱し、約半年後の2025年12月14日に低栄養状態で死亡した。
逮捕前に37.5kgあった体重は、18日間の身体拘束を経て、釈放翌日には27.7kgまで減少。亡くなったときは約19kgになっていたという。
遺族は、不当な捜査が少女の死につながったとして、国と兵庫県に対し計約1億921万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。21日に第1回口頭弁論が行われ、裁判が始まった。
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事件の発端だが、施設内のイベントの際、ある利用者が別の利用者にかみつこうとしたため、同僚の男性職員とともに制止した。事件から約4カ月後、明石署はこの行為が「暴行」にあたる疑いがあるとして少女と男性職員を逮捕。
少女は「かみつくのを止めようとあごに手を添えただけ」と容疑を否認したが、神戸地検の請求により勾留が延長され、計18日間にわたり身体拘束が続いた。
そして、16歳の未成年でありながら親との面会も一切認められず、精神的に強いショックを受けた。勾留中に体調を崩して吐血・救急搬送されるなどし、処分保留で釈放された後に不起訴処分になった。しかし、勾留生活で発症した摂食障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)が急速に悪化し、食事を受け付けなくなり、低栄養状態で亡くなった(衰弱死・餓死状態)。
報道された内容が正しいとすれば、警察は現場にいた多数の職員や利用者への客観的な聞き取りを行わず、限られた証言のみに頼って軽微とされる容疑で16歳少女を逮捕・長期間勾留したことになる。
何より問題なのは、親との面会を認めない捜査は未成年者に対して保護処分を前提とする少年法の趣旨から完全に逸脱している。
少女が遺した「被疑者ノート」には、「本当はやったんだろう」「少年院に行きたいんか」「共犯者(男性職員)は認めたぞ」といったうそや脅しに近い取り調べで自白を迫られた様子が記録されているという。
長時間拘束や厳しい取り調べは虚偽の自白生む
「弁護士ドットコムニュース」の取材に対し、少年事件にくわしい高橋知典弁護士は、逮捕の必要性について大いに疑問があるとし、次のように答えている。
「今回のような通常逮捕では、裁判官が発付する逮捕状が必要。犯罪の嫌疑があるかだけでなく、逃亡や証拠隠滅のおそれなども踏まえて、逮捕の必要性が判断される。とくに少年事件では、大人以上に身体拘束を慎重に考えなければならない。警察の捜査に関するルールを定めた犯罪捜査規範208条でも、少年については『なるべく身柄の拘束を避け』、やむを得ず逮捕する場合も、その時期や方法にとくに慎重な注意を払うよう求めている」
るなさんは結果的に不起訴になった。それを理由に、逮捕・勾留が直ちに違法になるわけではないが、高橋弁護士は、在宅のまま捜査を進めることができたのではないかと疑問を呈する。
逮捕・勾留は成人した大人にとっても心身に大きな負担を与えることは間違いない。まして、身に覚えのない容疑をかけられ家族にも会えない状態が続いた16歳の少女にとって、その恐怖や不安は計り知れないものだっただろう。
接見禁止が付けば、家族は弁護士を通じてしか本人の様子を知ることができない。長期間の身体拘束や厳しい取り調べが、虚偽の自白を生む危険性は、過去の冤罪(えんざい)事件でも繰り返し問題になっているところだ。裁判の今後に注目したい。
文/横山渉 内外タイムス






