インドネシアの技能実習生が夕方のスーパーで女性の臀部に唾液かける…AV見て短絡的犯行【裁判傍聴記】
「AVを見て同じことをしてみたいと思った」
この言葉は、性犯罪の裁判において被告人から聞くことがある。このような弁は、時に作品の表現を規制する訴えの際に引用されることもあるが、個人的には実行者がその気持ちになぜ歯止めが利かなかったのかという観点で考えるべきではないかと思う。
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大阪地裁で開かれた公判。暴行罪で起訴された被告人は、人が行き交う夕方のスーパーマーケット内等において、自身の手の平に唾液をためて、女性の臀(でん)部に衣服の上からかけるという行為を複数行った。
被告人は満員電車内で女優の臀部に射精するAV作品を見て、性的興奮を抑えられなくなったという。ただ、精液では逮捕される意識が働いたことで、唾液に変更したというのだ。
なぜ被告人は、行為を一部抑制する思いがありながらも、犯行そのものを思いとどまれなかったのか。被告人の主張を追った。
家族が借金して、憧れの日本に来た技能実習生
被告人は20代前半のインドネシア国籍の技能実習生の男性。顔立ちは幼く、10代の学生と言われても驚かないほどであった。
日本のアニメは母国の高校在学中から好きで、日本語の勉強も苦にならなかった。日本は憧れの国であったという。
裁判で読み上げられた証拠や被告人質問の答えでは、なぜ被告人が犯行を思いとどまれなかったのか判然としなかった。就労環境はどのようなものだったか、信頼できる人物は周囲にいたか、生活においての悩みはなかったのか。
明らかになるのは、被告人の性癖と、事件が発覚して以降の後悔の気持ちばかりだった。被告人の来日のために家族は新たに借金を背負い、母親も海外へ出て働き、学生である妹が一人国に残っている。
拘禁刑以上の有罪判決が言い渡されれば、被告人は母国へ帰ることになる。今後の借金返済の見込み、家族に合わせる顔、自身への失望など、涙を流しながら半ば混乱しているようにも見えた。
そんな様子を見てか、弁護人が被告人質問の最後に言葉をかける。
弁護人「これは、質問っていうか意見なんですけどね。あなたは、来日1年なのに、すごく日本語が上手じゃないですか。頭がすごくいいと思うんです。それなのにこんなことになって本当にもったいないと思う。大変だと思うけど、人生が終わるわけではないので、真っ当に頑張ってください」
被告人は、これまで通訳を介していたが、日本語で答えた。
被告人「私も自身で本当にがっかりしています。こんなことになるために日本に来たのではないです。全ての努力、時間、お金が無駄になった。僕ができることは、これから少しでも良い人間になることだと思う。たくさんの人に迷惑をかけて本当に申し訳ありませんでした」
流ちょうに話した日本語は、法廷にはなんともいえない空気を残した。
「警察に捕まらなかったら、もっと続けていたんじゃないか」
当然ながら被害者は許せない思いが強い。日常的に使っていたスーパーで、突然得体の知れない液体をかけられ、恐怖、気持ち悪さ、様々な感情が浮かんだ。
被告人の主張によれば「精液だと逮捕されると思ったが、唾液ならただの水だと思われ大丈夫と思った」と供述し、被害者の性的羞恥心を害する想像はできなかったともいう。一度実行したことでさらに歯止めが利かなくなったか、犯行を重ねた。
「警察に捕まらなかったら、もっと続けていたんじゃないかと思う」とも供述する被告人。原因の根底に、被告人の性癖、性嗜好(しこう)があるだろうが、それを抑制できなかった環境、人間関係にも一因があると感じる。
15日に開かれた公判で、裁判官は拘禁刑1年(求刑同じ)、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。
あまりに短絡的に行われた犯行。しかし、その短絡的な行為で被告人も失ったものはあまりに大きかった。
文/普通 内外タイムス






